全長 90cmほど
ダイサギはその名のとおり大きなサギで、シラサギグループのなかでは群を抜いて巨大だ。
そんな鳥が水納島のような小さな島に姿を見せると、実際の大きさ以上に大きく見える。
遠目に見る分には「大きな鳥…」で済むけれど、ダイサギが未舗装路上に佇んでいるところに散歩中出くわし、出会い頭にダイサギが羽ばたいて飛んでいったりすると、タンチョウヅル?ってくらいの巨大感がある。
ちなみにシラサギグループにはダイサギがいればコサギもいて、なおかつその中間のチュウサギもいる。
コサギはともかくチュウサギも60cmオーバーと大きく、単独でいたら我々シロウトにはパッと見でダイサギとの区別がつけにくい。
見分けるうえでのキーポイントは顔に比したクチバシの長さと、眼と比べた口角の端の位置なのだそうだ。
このようにすれば見分けられるとはいえ、チュウサギが小さな島の路上に立っていると…
…隣にダイサギが立ってくれてでもいないかぎり、遠目には見分けられない。
なのでここではチュウサギもひっくるめてダイサギ扱いしているかもしれないこと、予めご了承ください。
大中小とそれぞれの種がいる一方、ダイサギにはチュウダイサギという、まことにもってヤヤコシイ亜種がいるそうな。
そして沖縄県内でフツーに観られるダイサギは、たいていチュウダイサギで、ザ・ダイサギはかなりのレアものだという。
だからといってダイサギとチュウダイサギという亜種同士の違いを見分けるなんて、ダイサギとチュウサギの区別どころではない至難のワザだから、たとえザ・ダイサギがいたとしてもワタシがその千載一遇のチャンスに気づくことはけっしてない。
オフシーズンになると島に姿を現すダイサギは、大きな体だけではなく、その声にも相当な存在感がある。
グァルルルルル…てな感じの、怪鳥のような声を発して飛ぶのだ。
散歩中に出会い、ワタシの姿に驚いてそこから逃げ去るときなどは、どう聞いても「邪魔すんじゃねぇ!」と怒っているように聞こえる。
たまに10羽くらい集団になって飛来してくる時などは、みんなその声を発しているものだから、かなり不気味な怪鳥集団になっていたりもする。
とはいえそんな団体様が島に長居することはなく、冬場に長期間コンスタントに観られるのはせいぜい1~2羽で、かなり気ままに過ごしているようだ。
エサを獲るときは路上にいるダイサギも、休憩中は樹上にいたり…
屋根の上にいたり。
このような高みにいるときは、くつろぎつつも周囲をしっかり警戒している。
そして眼下をワタシが通りかかろうとすると…
…やっぱり怒る。
エサを獲っているのはもっぱら沿道の草むらなんだけど、ときには畑を歩いていることもあるし…
潮が引いた夕刻の干潟に佇んでいることもある。
日中こんな鳥に干潟をウロウロされては、シオマネキたちも生きた心地がしないことだろう。
図鑑的にはもっぱら水辺をエサ場とするダイサギながら、水納島で水辺といったら海辺しかなく、満潮時ともなるとなかなかエサにありつくことができない。
ということもあって、水納島ではもっぱら島内の沿道をエサ場にしているダイサギたちなので、散歩中に出会うことが多い。
今秋(2023年)、カメさんたちのエサ採り中に出会ったダイサギは、珍しくすぐさま飛び去ることなく、しばらく同じ場所に執着していた。
そこでダイサギを驚かさないよう、動きを停めてジッと観ていると、これ幸いとばかりに警戒を緩め、目的を果たそうとしはじめた。
その様子を動画でどうぞ(手ブレはご容赦ください)。
ダイサギは、カナヘビに執着していたのだ。
水納島にはカナヘビが多い。
だからといって次から次に見つけられるほどではないはずなのに、たて続けに一発ツモでゲットするダイサギの能力ってスゴイかも。
獲物をロックオンした際、まるで獲物を恐怖のズンドコに陥れてフリーズさせるかのように、長い首をクネクネさせる様子が面白い。
これは、右か左か、どっちに逃げようか…とカナヘビに惑わせて、結局静止したままにさせる作戦なのだろうか?
オレオレ詐欺じゃなくてクネクネサギに騙され、鶴の一声ならぬ鷺の一撃で食べられてしまうカナヘビたち。
何かと天敵が多そうなカナヘビにとって、ダイサギが滞在している季節は試練の日々になっているようだ。