全長 20cmほど
夏の間はすっかり藪になっている畑の草が刈られ、そして耕され、一面ホカホカの土になる秋半ばになると、開けた耕作地をエサ場にする冬鳥たちがこれ幸いとばかりに姿を見せるようになる。
白黒のコントラストのおかげでわかりやすいハクセキレイも、尾羽をピコピコさせながらゴキゲンそうにエサを探している。
水納小中学校が休校になってからは、その後も定期的に草が刈られているグランドが冬鳥たちの格好のエサ場になっていて、ハクセキレイもちょくちょくやってくる。
学校のグランドは脇の道から見るとグランドレベルが目線になるので、ハクセキレイの尾羽ピコピコを横から観ることができる。
といっても画像じゃピコピコが分からないので、動画で(手ブレと風の音はご容赦下さい)。
ピコピコさせてるでしょ?
草むらにはピョンピョン飛び跳ねる虫もいるからか、ハクセキレイもそれに合わせてピョンピョン跳ぶこともある。
すると、尾羽の模様がよくわかる。
道端で羽繕いをすることもあって、その際も…
…白黒クッキリの美しい尾羽を惜しげもなく披露してくれる。
尾羽の模様はほぼみな同じながら、実はハクセキレイにはたくさん亜種が知られていて、図鑑やネット上の画像で見比べるかぎりでは、顔や胸周りの黒い模様の入り方が異なるようだ。
沖縄ではハクセキレイのほかに、タイワンハクセキレイ、ホオジロハクセキレイ、シベリアハクセキレイ、ネパールハクセキレイ、メンガタハクセキレイといった亜種たちも少数ながら観られるのだそうな。
で、彼らの仲間の本家は「ハクセキレイ」と思いきや、分類学的にはタイリクハクセキレイがアカデミズム上の元祖なのだそうな。
つまりザ・ハクセキレイも、タイリクハクセキレイの1亜種ということになるわけだ。
それまでは白黒コントラストクッキリ尾羽ピコピコはみなハクセキレイということにしていたんだけど、亜種の存在を知り、それまでに撮ったハクセキレイたちを見比べてみた。
背中の濃淡や目を通る黒い帯模様、それに胸の黒斑が、それぞれ微妙に、もしくはまるっきり異なっていることがわかる。
ハクセキレイの亜種についてわかりやすく図示してくれているこのサイトを参考にすると、①はザ・ハクセキレイ、②(と冒頭の写真)はホオジロハクセキレイで間違いないと思われる。
シロウトがその勢いで③も④も区別してみると、③は胸が見えないから暫定ながらタイワンハクセキレイ、④は顔のあたりがかなり微妙ながらシベリアハクセキレイってところだろうか。
ちなみに魚の場合は海域ごとに色模様が違っていても、地域変異ということで同種扱いされることもあるのに、鳥の場合は季節限定とはいえ同じ場所で観られても亜種という扱いになる。
少数とはいえ同じ時期に同じ場所にいたら、それって遺伝的に亜種レベルの違いをキープできるんだろうか?
あ、だから冬鳥たちはエサがどれほど豊富にあっても、冬場に繁殖しないのか…。
今年(2023年)も秋になってハクセキレイがやってきた。
野焼きしたばかりの畑でエサを探すこの子は、いったい何ハクセキレイなんでしょう?
タイワンハクセキレイ?それともハクセキレイのメス?
シロウトにはどうにもキビシイ亜種の見分け方なのだった。
※追記(2024年11月)
遠方の台風のせいで欠航が続く10月末(2024年)のこと。
夕刻海の様子を見に桟橋まで出向いてみると、シロチドリがチドリングをしていた…
…と思ったら、どう見てもセキレイの姿形&動きをしている鳥が1羽混じっていて、波打ち際から飛びあがると、桟橋の縁に着地した。
海辺にセキレイ?
まったく別件の写真を撮るために手にしていたコンデジのズームで撮ってみたところ、ホントにセキレイだった。
ん?
顔が黄色いセキレイ??
え?こんなのいましたっけ?
後刻調べてみたところ、これはハクセキレイの若鳥なのだった。
なんでも、その年生まれの若鳥は、冬羽になる前のわずかな期間、このように顔が黄色いのだそうな。
最初に生えてきた羽毛の毛先が黄色いため顔が黄色く見えるそうで、その毛先がやがて擦り切れていくため、オトナ色のホワイトフェイスになるという。
へぇ~~、知らなんだ!
その他、付け根近くのクチバシの色が黒くなく淡い色をしているのも、若鳥の特徴なんだとか。
いずこの地で生まれ育ったのか知らないけれど、今年生まれのピカピカの1年生だったのだねぇ…。
ハクセキレイは毎冬島に渡ってきてしばらく居てくれるからお馴染みの鳥さんとはいえ、ピカピカの1年生とは人生初遭遇だ。
顔の色が黄色から白に変わる理由が羽毛の擦り切れということなら、ひょっとすると微妙な顔の模様の違いも、擦り切れ具合いの差によるだけだったりして…。