全長 12cmほど
キビタキと初めて出会ったのは、コロナ禍が日本でも広がり始めた2020年4月のこと。
春だというのに大時化が2日続くという異常事態中、のんきにジョギングをしていたオタマサが、灯台方面で見慣れない鳥を観たという。
後刻図鑑で調べた彼女が言うには、それはキビタキのオスのようだ。
県内では数は少なくとも通年観られるそうながら、水納島ではこれまで観たことがない。
さっそく現地を訪れ、サーチしてみた。
すると…
…いた。
それも、意表をついてすぐ目の前3mのところに止まった。
キビタキ、図鑑で見るよりも遥かにきれいじゃないか!
…と感嘆できたのは束の間のことで、向こうも意外な近さに驚いたのか、すぐに飛び去ったため残念ながら写真は撮れず。
初遭遇はうれしかったものの、ひょっとすると千載一遇かもしれないだけに、是非とも証拠写真は残しておきたいなぁ…。
幸いにも連絡船は欠航、そしてコロナ禍中の自粛ムードもあいまって、島内は冬場のようにいたって平穏だったから、翌日も散歩で同じ場所に行ってみた。
たまたまいたのであろう鳥さんを、翌日も同じ場所で観られようなどとはまったく期待していなかったというのに…
…いた。
葉陰にいるから全体に緑がかってしまっているけど、間近で見る胸のオレンジはもっと鮮やかな色だ。
その頃すでにジョニーもクラシカルアイになっていたのかピンボケ写真ながら、日が当たっているところにいると…
咽喉から胸にかけて、無性にテキーラサンライズを飲みたくなってしまう色になっている。
また、ピンボケ写真をよく観ると、キビタキは何かをくわえている。
ヒタキ科の鳥さんなので、お馴染みのジョウビタキと同じく地面で餌を探すキビタキは、この灯台へと続く道を餌場にしているようだ。
羽を開くと背中も鮮やかな黄色だから、遠くにいても、飛び去る姿でキビタキだとすぐわかる。
図鑑的には本土の夏鳥であるキビタキとは別に、リュウキュウキビタキという亜種がいるそうで、リュウキュウキビタキは少ないながらも留鳥で、本土のキビタキも旅鳥として沖縄地方に立ち寄るらしい。
リュウキュウキビタキは咽喉から胸の黄色味が淡いと説明されている。
ではこのテキーラサンライズ君は濃い方なのか、淡い方なのか、どっちなんでしょう?
やっぱ、濃いですよね。
ってことは、彼はザ・キビタキってことか。
大時化前にほんの少しの羽休めってことだったのだろうか。
だとすると滞在はやはり束の間、まさに千載一遇だったはず。
千載一遇は個人の感想ながら、リュウキュウキビタキであれば留鳥、キビタキであれば、冬場熱帯アジア地方で過ごしていたものが夏の間本土で暮らすための旅鳥ということになるわけで、少なくとも「冬鳥」ではない。
なので、この稿のトップページにおけるキビタキのポジションをどうすればいいのか困ってしまった。
とりあえず「季節を問わずたまにやってくる」カテゴリーに入れたものの、これはリュウキュウキビタキであれば、ということになる。
ちなみに図鑑で見るとメスは限りなく地味だから、いたとしても気づく自信はない…というか、これまでずっとスルーしてしまっているかもしれない。