全長 12cmほど
今世紀になるかならないかくらいのころだったろうか、合唱と野鳥を愛するゲストが日中島内を散策されたあと、夜のゆんたくタイムで、
「この島にはセッカもいますね」
と教えてくださった。
ん?セッカ?
初めて耳にするその名前、そもそもそれが鳥の名であることすらその時初めて知ったくらいだから、セッカがどのような鳥なのやら我々には見当もつかなかった。
そのゲストに特徴を教えてもらい、その後意識するようになってようやく、「セッカ」は我々の中で市民権を得た。
なるほど、気にかければ彼らは島内でごくごくフツーに出会える。
セッカはウグイスの仲間で、スズメくらいのサイズで色柄も似ているから、ただそこにいるだけだと見分けがつかないかもしれない。
ところが春から秋にかけてのセッカはその鳴き声がとても特徴的で、ヒバリのように定位置ホバリングすることはないけれど、上空で己の存在をアピールすべく舞っているときなど、チュチュッ、チュチュッ、チュチュッ……とよくとおる声で鳴き続けている。
ただしセッカの存在を知ったのはまだ旧我が家住まいの頃で、家の半径100m以内に平坦地がなかったからだろう、遠くにその声を聴くことはあっても、そんなにしょっちゅう目にする鳥ではなかった。
幸か不幸か…あ、不幸か…その後旧我が家が被災し、現我が家に移り住むことになると、畑をはじめとする開けた平坦地とそれを取り巻く藪がすっかり身近になって、たちまちセッカが身近な野鳥になった。
とはいえスズメ大の野鳥など、当時のコンデジのズーム能力ではそうやすやすと姿を捉えることはできず、かといって低性能のわりにはナリだけデカいズームレンズを装着したデジイチをぶら下げて歩き回っていられるほど夏場はヒマでもなかったこともあって、姿はお馴染みでもなかなか記録に残せないままでいた。
それがジョニーを手に入れてからというもの、このあたりのサイズの野鳥もすっかりストライクゾーンになってきた。
カメさんたちのエサ採りや、ガメ公の散歩の際にいつもジョニーをポケットに入れるようにしていたところ、ついにチャンス到来。
あ…後ろ向きだった。
ススキの穂に止まれるくらいだから、いかに小さく軽いかがよくわかる。
小さくてこういう模様だから、遠めにはスズメにも見えるし、上空でさえずっている様子を目にしてヒバリと勘違いする方も多い。
この鳥さんを見て「セッカ」だとわかるヒトってのは、一般的にはある意味変態社会人なのかもしれない…。
繁殖期の夏場は囀りのおかげでやけに目立つセッカながら、秋も深まってくるとにぎやかに囀らなくなり、藪の草木に止まっている姿をよく見かける。
ただし個人的なモンダイがひとつ。
彼らの仲間には他にも似たような羽の模様をしたものたちが何種類もいて、秋以降春まで水納島にいてもおかしくないものたちも多い。
そのため秋に撮った上の2つの写真は、はたしてホントにセッカなのか、いまひとつ確信が持てないワタシ。
というか、ここで紹介している写真が、すべて別の鳥さんだったらどうしよう…。
動画の声の主だけは、セッカであることは間違いないんだけど、点にしか写ってない…。
というわけで、冒頭の写真その他をご覧になって、「なるほど、これがセッカかぁ!」と鵜呑みにするのは危険です。
※さっそく追記
上の動画は、最初にアップしたものとは違い、日を改めて晴れている日に撮り直したものなんだけど、これを撮っている際に、盛んに囀っていたセッカがふと羽を休めたところを写真で撮ることができた。
さすがにこれはセッカで間違いなし、のはず。
ついでに飛び立つところも。
このあとも盛んに囀っていたセッカ。
セッカの春は忙しい…。