全長 12cmほど
本業のダイビングサービスを一昨年のシーズンをもってセミリタイアしたこともあって、昨年(2022年)は8月真っ只中だというのに呑気に億首川を再訪した。
金武町を流れる億首川河口域には水田地帯も広がっており、淡水の水辺を好む鳥さんたち(=水納島では目にすることができない鳥さんたち)が観られるので、たまにドライブがてらフラリと立ち寄ることはこれまでにもあったけれど、真夏は初めてのこと。
冬にはけっして観られない鳥さんはいないかなぁ…とウロウロしてみたところ、頭を垂れて実る稲穂を啄む小鳥がいた。
稲穂を啄んでいたから、遠目にスズメかな…と思いきや、画像を見てみると初めて目にする鳥さんだ。
帰宅後調べてみたところ、これはシマキンパラという鳥であることがわかった。
分布域的に台湾ルートで沖縄に渡ってきているものが定着していてもおかしくはないそうながら、現在沖縄で見られるほとんどのシマキンパラは、飼い鳥が逃げたものが繁殖したものらしく、いわゆる外来生物扱いの鳥なのだそうな。
沖縄では1988年に繁殖が確認されているというから、外来種とはいってもなにげに沖縄在住歴(?)は長いシマキンパラ。
そのお腹の模様から「アミハラ」という別名もあるそうで、場所によっては複数羽がイネ科の植物の実を啄んでいるという。
そんなシマキンパラが、今年(2023年)2月、ついに水納島にも登場。
その日の朝から耳慣れない鳴き声がしていて、いったい声の主は誰だろう?と首を捻っていたところ、未舗装路上で同じ声を発しながら食事しているところを昼の散歩の際に見かけたもの。
単独でいるにもかかわらず、居場所を容易に特定できる声を発しながら食事だなんて、リスクマネジメント的にどうなんだろう?
甘えているような声の出し方からして、まだ若鳥なのだろうか。
そういえば、億首川で出会ったシマキンパラは網腹模様だったのに対し、こちらは無地っぽい。
どうやらこれはシマキンパラの幼鳥の特徴のようで、甘えた声を出しているところからみても、まだ親元を離れたばかりってことなのだろう。
甘え声は出していても、路上のイネ科植物の実をセッセと啄んでいるあたり、ちゃんと自立しているらしい。
稲穂など無い水納島では、イネ科の雑草の実が精一杯の御馳走のようだ。
朝から昼まであれほど家の近くから聴こえていた特徴的な声は、オタマサによると午後にはカモメ岩のほうに移動していたという。
このまましばらく居続けるのだろうか…と淡い期待を寄せてみたものの、やはりちゃんと稲が実るところのほうがよかったのか、その後まもなくシマキンパラは島から姿を消した。
アイランドホッピング中に、束の間水納島に羽休めに立ち寄っていただけだったようだ。