全長 18cmほど
水納島の民宿で宿泊された方なら、朝方清々しい鳥の声で目覚めたことがきっとあるはず。
ヒトによっては「うるさい」とも評されるその声の主は、島に年中いるイソヒヨドリだ。
ところが同じ本部町内でも本島にある我々の秘密基地で目覚める朝は、全然異なる声を聴くことになる。
シロガシラだ。
シロガシラもまた本島では通年観られる鳥さんで、ときに多数が集まってにぎやかに過ごしていることもある。
この鳥さんたちが住み分けてくれているおかげで、島ではイソヒヨドリの声が、本島ではシロガシラの声が、それぞれの朝の歌となっている。
ところが2015年のGW後くらいに、水納島でまさかのシロガシラの声が。
姿を探してみたところ、完全アウェーのはずなのに、のんびり羽繕いをしてくつろいでいた。
それから3~4年は数羽がずっと島に住み着いていたようなのだけど、コロナ禍直前くらいを境に、その後はときどき島に来てはまた姿を消す、ということを繰り返しているシロガシラ。
その昔のシロガシラは八重山や台湾がそれぞれの亜種の生息地だったようなのだけど、70年代から本島で増え始めたのだそうだ。
きっかけは、本島で誰かが飼っていた鳥が逃げ出したか放逐されたことによるという。
あっという間に分布域を広げたきっかけがそれ…って、いったい何羽飼ってたんだろう?
情報源はとある図鑑の解説のみだから真偽のほどは定かではないものの、たしかに島に越してきたばかりの前世紀末には本部町内では姿を観なかったはずなのに、今じゃ町内でも場所によっては(エサが豊富なところでは)群れてさえいる。
水納島には基本的にいないから害はまったく無いのだけど、聞くところによると本島では畑の害鳥としてけっこう悪さをしているらしく、悪さ=餌が豊富ということもあるのだろう、彼らはその分布域をどんどん広げているそうだ。
そんなシロガシラが水納島にも足を延ばしているのは、「ほほぉ、旨そうなものがいっぱいあるぞ…」ということなのかも。
たくさんの仲間を次々に呼び寄せる日も近いかもしれない?
本部町内を散歩していた際、放置プレイ状態ながらも中でトマトか何かが育っているビニールハウスの中で、けたたましい鳥の声が響き渡っていたのでビックリしたことがある。
ナニゴトかと見ていたら、それは打ち捨てられたハウス内で半自生(?)しているトマトを求め、あちこち敗れているビニールハウスに侵入したシロガシラの集団が大フィーバー状態になっていたのだった。
そんなシーンを目の当たりにしたことがあるものだから、こんな大集団が島に来ようものなら…と戦々恐々としていたものの、せいぜい3羽くらいがチラホラ観られたくらいで、その後はすっかり鳴りを潜めている。
耕作地が目に見えて減り、エサとなる作物が激減している近年の水納島は、シロガシラにとってわざわざ海を越えて渡って来るほどの価値はないということだったりして…。
虫を食べているのは仕方なしに?