全長 25cmほど
イソヒヨドリ大のシロハラは、冬場にわりと数多く渡って来るお馴染みの鳥さんだ。
地面でエサをあさる習性なので、地上にいることが多い。
でも彼らは警戒心が強いので、ジョギングや散歩などでそばを通りかかると、たとえ姿が見えない沿道の藪の中にいてさえも、
キョキョキョキョキョキョキョッ……!
と叫びながら、慌ただしく飛び去って行く。
なにもわざわざ声まで出して姿をさらさなくても、ジッとしていればこちらは気がつかないものを…。
このようにけっこう警戒心が強い一方で、個体数が多い年だったからだろうか、我が家を縄張りにしてしまうシロハラもいた。
↑これなど目の前数メートルの距離で撮っているくらいだから、当時は庭の芝生の上で2~3羽がウロウロしていることもザラだった。
2015年は数羽ほどが庭の周辺にいつもいたものだから、掃き掃除したはずのアプローチに枯葉が散らかっていたり、カメさんたちにあげたはずのバナナやパパイヤを横取りしたりと、いろいろと悪さをしていたこともあった。
我が家はイソヒヨドリが通年縄張りにしているため、1羽くらいだとイソヒヨドリに追い払われるのだけど、数が増えて気が大きくなっていたからだろうか、自分の縄張りを主張するようになってもいた。
その当時のこと、夕刻にシャワーを浴びていたら、外から金属が響き合うようなカシャンカシャンという異音が聴こえてきた。
時刻が時刻だけに、島の誰かがこれから何かの作業をしようというわけでもなさそうだし、それほど遠くから聴こえてくるわけでもない。
いつまで経っても鳴りやまない金属音、ひょっとしてボイラーにトラブルが生じ、何か厄介なことになっていたりして…
風呂場の小さな窓からボイラー方面を覗いてみると…
はたして、1羽のシロハラが、ボイラー用の灯油タンクの前にいたのだった。
すると観ているうちに…
ステンレスタンクの表面に映る自分の姿を縄張りに侵入したライバルだと勘違いし、戦いを挑んでいたのだ。
相手に蹴りを喰らわせる動作を延々繰り返すものだから、足の爪がタンクに当たる音、すなわちカシャンカシャンという音がずーっと鳴りやまなかったのである。
一連の写真は、翌日もほぼ同時刻に自分との戦いに明け暮れていたところを撮ったもの。
2日も続けて同じことを繰り返しているのは、それが自分の姿であることにまったく気がつかないからなのだろうか、それとも来たるイソヒヨドリとの決戦に備え、トレーニングを続けているからなのだろうか。
トレーニングなのだとしたら、彼の脳裏にはずっときっとサバイバーの「Eye of the Tiger」が流れ続けていたに違いない。
ことほどさように、我が家に居ながらにしてフツーに出会える冬場の鳥さんだったシロハラなのに、どういうわけかコロナ禍突入前後の年には数が激減して、冬場というのにほとんど出会えなかったこともある。
それが昨秋(2022年)になって再びたくさん姿を現すようになってくれたので、散歩中に例の声をそこかしこで聴くことができた。
ただしこれまで以上に警戒心が強く、庭先に姿を現すなどとんでもない…といった雰囲気だ。
それでも島に渡ってきてからしばらく経ち、周辺の状況を少しずつ把握したからなのか、ヒトの気配を察知しても、すぐさま飛び去らなくなった子もいた。
沿道の草っ原でエサ探しをしていたシロハラが、ワタシの気配に気づき、サッと飛び上がって牛草に止まった。
最初は背中を見せ、いつでももっと遠くへ逃げられる態勢だったところ(冒頭の写真)、ワタシの視線を感じたのか、体の向きをこちら向きに変えたシロハラ。
その名のとおり、お腹が白い。
ここでウカツに姿を見せたらさすがに飛び去ってしまうから、市原悦子になってフクギの陰からそっと覗いていたところ、どうやら彼からはワタシが見えなかったらしく、そのまま警戒モードが徐々に緩和していき…
…口をモグモグさせていた(声は出してません)。
庭先で姿が観られなくなって以来、普段は飛び去る姿しか観られなくなっているから、市原悦子になって初めて観察が可能になるシロハラの仕草…かも。
この年はやたらと数が多かったところからすると、この調子で行けば来年あたりは再び我が家の庭先でシロハラの姿が観られるかな…
…と期待していたのだけれど、2023年12月初旬現在、まだ島内ですら姿を観ていない。
※さっそく追記
この稿をアップしたあと、この日夕刻にジョギングしていたオタマサが、今季シロハラに初遭遇。
数の多寡は不明ながら、少なくとも今年も島に渡ってきてくれたようだ。