全長 40cmほど
2016年の小春日和の朝、いつものように外のデッキでインコを遊ばせていたオタマサが、「変な鳥がいる」という。
前日にルリビタキの若鳥もしくはメスに出会ったばかりだったから、てっきりまた小鳥系かと思いきや、オタマサが指差す電線にとまっているのはハト大の猛禽系だ。
それも、バランス的に尾が長い。
当時はジョニー(光学40倍OKのコンデジ)がまだ手元になく、地上10m、しかも水平距離でも離れている電線上では、さすがに水中用コンデジではキビシイ。
そこで、200mmまでのズームレンズ仕様にしたデジイチを手に、雨がパラつく中庭に出て撮ってみたのが冒頭の写真。
距離的に精度はこれが限界だったものの、かろうじて猛禽類であることはわかる。
この季節の猛禽類の代表サシバに比べると小型だし、バランス的に尾羽が長すぎる。
島で観られるこのサイズの猛禽といえば、通年いることもあるツミかとも思ったんだけど、こうして写真で観るとまったく違う鳥だ。
はたしてこの鳥は?
調べてみると、チーターにも似た顔立ちの目元の模様やお腹の模様からして、チョウゲンボウのようだ。
その名はつとに有名だし、図鑑によると沖縄には冬にごく普通に渡ってくるというのだけれど、我々にとっては人生初遭遇である。
それにしても、朝から電線の上で、いったいぜんたい何をしているのだろう?
あ…ひょっとしてインコを狙っていたとか?
チョウゲンボウは農耕地や牧草地でネズミなど地べたを這う小動物を獲物にするそうなんだけど、水納島には農耕地や牧草地はあっても野ネズミはいないからなぁ。
あ、トカゲはたくさんいるからエサは豊富だ。
冬の間島に居続けてくれるのか、それともたまたま立ち寄っただけなのか。
どうやらこのチョウゲンボウは島にしばし立ち寄っただけだったようで、その年はそれ以後姿を見かけることなく終わった。
再会は3年後で、10月になってから上空を飛ぶ姿をチラホラ見かけていたものの、サシバ同様警戒心が強いからなかなか間近では写真を撮らせてはもらえないままでいた。
ところが旧畑1号付近で草刈りをしようとしていた時、そこから見えるモクマオウの枝に止まってくれた。
それでも随分遠いところながら、この時にはすでに手にしていたジョニーのズームなら、証拠写真くらいは可能だ。
デジタルズームで無理矢理拡大してみると…
目元の模様、お腹の縦縞、そして尾羽の先の黒い帯は、紛うかたなきチョウゲンボウ。
この年も結局島での滞在はひと月足らずで、これ以上の接近はなしえなかった。
止まっているところもさることながら、飛んでいる時のカッコイイ姿も撮ってみたいなぁ…。
…そのチャンスは今年(2023年)訪れた。
もっとも、場所は水納島ではなく喜如嘉のターブクで、ターブクならではの鳥さんなどはいはせぬかとドライブがてら訪れた際、さきほどから遠くで鳴いていたサシバがすぐ上空まで来た…
…と思ったその猛禽は、遠くにいたサシバではなく、目元の模様や尾羽の先の黒い帯からしてチョウゲンボウだ。
サシバでは観たことがない上空での尾羽全開ホバリングを何度も繰り返していたのは、獲物をロックオンしようとしていたからなのだろう。
やっぱ猛禽はかっこいいなぁ!