甲長 20mm
ヤドカリの仲間たちにはサンゴヤドカリやヨコバサミの仲間など、小ぶりで繊細なフォルムをしているものたちがたくさんいる。
その一方で、大きくて手脚の剛毛が際立っているものたちもたくさんいて、なまじ大きいだけに目立つのはどうしてもこの大きな毛むくじゃらのヤドカリになる。
なのでひょっとすると、健全社会ダイバーの「海で出会うヤドカリ」というイメージを強く印象付けているかもしれないヤドカリさんたちかもしれない。
そんなビッグヘアリーなヤドカリのひとつが、このアミメオニヤドカリだ。
その手脚には、硬そうな剛毛がビッシリ。
殻口が広い巻貝を宿にしているため、貝殻自体もでっかいものが多く、リーフエッジ下のオーバーハングあたりの暗がりにいても、かなりの存在感だ。
会いたいからといっていつでも会えるほど数多くはないけれど、そういう場所をサーチするとわりとコンスタントに会えるアミメオニヤドカリ。
「オニヤドカリ」と名がつくグループに属しているヤドカリさんは他にも何種かいて、撮影時にそのうちのどれなのか見極めて撮っているわけではないから、何オニヤドカリをこれまで撮ってきたのか、キチンと把握してはいなかった。
今回これまで撮ったオニヤドカリの仲間をチェックしてみたところ、デジイチを使うようになってからこっち、アミメオニヤドカリしか撮っていないことに気がついてしまった。
オニヤドカリ属の他の種類と区別するうえで、注目すべきは眼柄。
眼柄がグリーンで、そこにクッキリハッキリラインがあれば、アミメオニヤドカリでほぼ間違いなし。
この眼柄部分がやけに美しいグリーンだから、ひょっとして貝殻に隠れている部分も、実はそっち系の鮮やかな色だったりして?
と期待していたところ…
…手脚と同系色なのだった。
それはともかく、眼柄の模様を確認するために眼ばかり見ていたところ、気がついたことが。
アミメオニヤドカリの眼って…
…キンチャクガニそっくり。
そう、時にゴルゴ13の眼にも見える目つきをしているのだ。
これは目玉のところに縞模様が2本あるために、その中に眼球(?)が来るアングルで観るとゴルゴ化するようだ。
目は口ほどに物を言うのなら、この目はいったい何を語っているのだろう?
撮ったことがあるオニヤドカリ属はみんな、この目をしているアミメオニヤドカリばかり。
サザエ生息密度調査の時によく騙されているのはオキナワオニヤドカリだと思うから、他の種類もけっしていないわけではないだろうに、リーフエッジ下あたりはアミメオニヤドカリが占有しているのだろうか?
ともかくそんなわけで、思いのほかたくさんあるアミメオニヤドカリの写真のなかで、最も貝殻が綺麗なのはこちら。
まだ若いからだろうか、剛毛が黒々しておらず、体の色もわりと鮮やかで、おまけに貝殻も派手なオレンジだから、おそらく撮影時の私は「おっ!」となっていたはず。
でもやはりゴルゴ目だから、アミメオニヤドカリであることは間違いないのだった。