(Hamopontonia corallicola)
体長 15mm
図鑑や雑誌に掲載されている写真を見ていたので、このエビの存在は前世紀末から知っていた。
でも初めて海中で出会ったのは、2010年のこと。
けっして珍しいわけではないこのエビと出会うまでなぜそれほど月日を要したのかというと、発見の仕方に変態社会的な「ちょっとしたコツ」があるからだ。
その変態的コツを、変態社会の住人・かねやまんさんが教えてくれたおかげで、住処であるハナガササンゴのチェックの仕方を知った私である。
それ以来そこかしこでこのエビを確認するも、いかんせん当時の私はフィルムカメラ用ハウジングが使用不能になって久しく、かといってデジイチの導入には至っていなかったためにコンデジしか持っていなかった。
標準装備のコンデジではどうせいい写真が撮れないと思い、目にするだけにとどめ、撮影はあきらめていた。
ところがその2年後、降って沸いたようにだんなのお下がりのデジイチを使えるようになったものだから(降って湧いたのではなく俺が新しいハウジングを小遣いで買ったからだ!……だんな談)、俄然やる気が出てきた。
やでうでしや…とばかりに早速件のサンゴをチェックするとソッコーでこの子を発見(かねやまんさん、手ほどきをありがとう)、即撮影とあいなった次第である。
その際同じ場所に、もっと小さなものもいた。
図鑑やネット上で観るこのエビの写真はプリッとした体つきのモノばかりだからなかなか確認できないけど、これはまだ幼い個体なんだろうか、それともオス?
それも気になるところながら、もっと困ったことに、このエビは以前はヒメイソギンチャクエビということで落ち着いていたはずが、その和名が該当するのは違う種類という結論になったため現在は和名が無く、Hamopontonia corallicola という学名のカタカナ表記「ハモポントニア・コラリコーラ」が通り名になっているようだ。
いっそのことペプシコーラにしてくれたほうが覚えやすいんだけどなぁ…。
※注:
当時の水納島ではこのようなエビを探すダイバーは当店ゲストくらいのもので、ごく限られていた。
ところがその後、変態社会が本島北部にまで勢力を伸ばし、水納島にまで手を伸ばすようになってきたため、エビやカニが生息している可能性がある刺胞動物の傷みがヤケに目立つようになってしまった。
誰も彼もが四六時中いじくりまわせば、そりゃ宿主のサンゴたちだって傷みもするというもの。
そのため私は、触手を縮めさせてまでサーチしなければ見つけられないエビやカニは、あえて探さないようにしている。
ええ、けっして自分は写真を撮って満足したから、というわけでは……。