(Tuleariocaris holthuisi)
体長 10mm
今回のエビカニ倶楽部リニューアルにあたり、もう手元にあるカクレエビ亜科のエビの種類は出尽くした…
…と思いきや、まだ1種類残っていた。
冒頭の写真は、前世紀にビーチに潜ってウニに潜む様々なエビを探し求めていた頃に出会ったものだ。
ナガウニの棘の合間で暮らす小さなテッポウエビを探していたところ、まったく予定外かつ図鑑ですら観たこともないエビに出会ってしまった。
その時こそ「なんだこれは!?」と盛り上がりはしたものの、まだ世間はエビカニ変態社会黎明期のこと、そのヨロコビを分かち合うヒトなどいるはずもなく、今のようなネット社会でもなく、パッとしない写真の出番はどこにもないまま、その後長らくポジフィルム保管ケースの暗闇で眠り続けることに。
それが今回のリニューアルに際し、「サンゴ礁のエビハンドブック」を繰り返し繰り返し眺め続けていたおかげで、埋もれていた写真を発掘した途端、すぐさまビンゴ!となった。
このエビの写真にとって「サンゴ礁のエビハンドブック」は、いわば眠れる森の美女を眠りから目覚めさせた近国の王子様のチューのようなものだ。
図鑑によると現在も和名はまだないものの、アカデミズムの変態社会では Tuleariocaris holthuisi という学名で周知のエビとなっているようだ。
ナガウニでよく観られているらしいのだけど、ナガウニなんていったらそれほど棘が長いわけではないし、目立ってしまいそうな気がする。
でも体側に白い帯が入っているカラーリングは、なるほどナガウニ仕様なのかも(PCでご覧の場合、↓この写真をクリックすると大きな写真になります)。
今でこそ沖縄の各地で確認されているようだけど、前世紀にこのエビの存在を知っていた日本人はそう多くはあるまい、フフフ…。
…といいつつ、過去に1度、それもナガウニの棘の合間の1cmほどのエビのことなど、四半世紀以上前に撮った写真を四半世紀ぶりに見て思い出せるはずはなく、それこそ私の脳内奥深くで永遠の眠りについているのはいうまでもない。