エビカニ倶楽部

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フトユビシャコモドキ属の1種

Gonodactylaceus glabrous

体長 8cm

 モンハナシャコなど、砂礫底に巣穴を作ってそこから顔を出しているシャコたちとは異なり、サンゴの近くに巣穴をもち、サンゴの枝間や岩肌を生活圏にしているシャコたちもけっこう多い。

 彼らはいずれも10cmに満たないくらいのサイズなので、サンゴの枝間や岩肌などを注視しないと存在に気づけないかもしれない。

 そんな小ぶりなシャコの代表格が、フトユビシャコ。

 潮間帯などの浅いところや、大潮の干潮時には干出するほどに浅いリーフ上のそこかしこでチョコマカしている。

 わりと警戒心が強いため、居た、と思ってもすぐに逃げてしまうことが多いものの、ビーチエントリーでダイビングをしている方々にはわりとお馴染みかもしれない。

 そんな小さなフトユビシャコは、普段ボートダイビングをしているリーフの外でも観られる…

 …と長い間思っていたのだけれど、これまで私がずっとフトユビシャコ(の仲間)だと思っていたシャコたちの多くは、フトユビシャコ属ではなく、フトユビシャコモドキ属に含まれるシャコだった。

 もっとも、どちらもフトユビシャコ科のシャコ、ということでは「仲間」ということになるんだけれど、そもそもフトユビシャコモドキという存在をまったく認知していなかったから、なにげに新鮮だったりする。

 リーフ上などの浅いところでチョコマカしていることが多いフトユビシャコほど出会う機会は多くはなく、冒頭に並んでいる4タイプのうち、1番から3番まではまったく同じ場所でそれぞれ異なる時期に撮ったもの。

 砂底にポツンとある小さな岩にハナヤサイサンゴ系のサンゴがついており、その岩の表面に開いた穴から顔を出していた。

 盆栽ほどのサイズでしかないところに何匹もいるとは思えないから、ひょっとすると全部同一個体かもしれない。

 行儀よく捕脚をたたんでいる時に目立つ肘(?)のあたりの点々模様のほか、捕脚を少し広げると…

 二の腕(?)のあたりに、なんとも美味しそうな目玉焼きマークがある。

 この特徴を手掛かりに調べてみたところ、どうやらこのシャコはGonodactylaceus glabrousというフトユビシャコモドキ属のシャコのようだ。

 手元にある写真で目玉焼き模様が確認できるのは1番の子だけながら、ひょっとすると同一個体かもしれないくらいに同じ場所に居たくらいだから、他の面々も同じ種類だろうと思われる。

 同じ個体かもしれないものがこれほど体の色が変わるのであれば、撮影場所はまったく異なる4番も、同じ種類と見てまず間違いないだろう。

 彼らはわりと活動的で、穴から顔を出しているだけではなく、縄張り内のサンゴの枝間をチョロチョロスルスル移動する。

 獲物を探しているらしい。

 もう少しお腹側から観るとこんな感じ。

 穴から顔を覗かせている際に黄色っぽかったり赤っぽかったりするということは、体の色もそれに合わせて全体的に変化させているのだろうか。

 あいにく体を見せてくれたのは1番の黄色っぽい子だけで、他の色味では↓これくらいがせいぜいだ。

 頭部だけながら、体全体の色が変わっているっぽい様子がうかがえる。

 で、結局のところ、どの色味がノーマルカラーなんだろう?

 彼らの世界に「ノーマル」などという概念はないのかな?