エビカニ倶楽部

カイメンカクレエビの1種

(Periclimenaeus storchi)

体長 12mm

 その昔、まだ世の中にデジカメのデの字もなかった頃、ダイビングフォトグラフィーという雑誌があった。

 創刊2号には私が撮った写真が掲載されていたりするくらいだから、なかなか目の付け所がシャープな雑誌だったのだ。フフフ。< シャープな雑誌が休刊になるか??

 その雑誌の何冊目かでダイビングクラブの後輩の写真が紹介されていたことがあって、そのうちの1点がこのカイメンカクレエビの1種だった。

 彼は自然光と水中ライトの暖色系の光を取り入れたマクロ写真を得意としており(当時もまだフィルム)、その作例の一つとして紹介されていたのであって、けしてエビカニに特化していたわけではない。

 それなのにどうして、私が撮ったことはおろか見たこともないエビの写真があるんだ!

 と、エビカニ好きな私としては、大変悔しい思いをした記憶がある。

 それから15年以上経ってから(2012年)、ようやく写真を撮ることができた。

 当時も今も Periclimenaeus storchi という学名はあるもののまだ和名はなく、カイメンカクレエビ属の1種ということになるわけだけど、住処にしているのはカイメンではなく、チャツボボヤというホヤであることが多いようだ。

 小さい頃は↑このように丸くて可愛いチャツボボヤは、ここにきて実は何種類かに分かれるなんて話も出てきているからホントにチャツボボヤなのかどうか不明ながら、大きくなるとややだらしない形状(?)になる。

 このエビの大きな個体に出会いたければ、そんなだらしなく大きなチャツボボヤを探すしかない。

 エビ自体はレアというわけではないし、チャツボボヤも水納島ではごくごくフツーに観られるから、そのホヤを丹念に探せば、やがては出会えることだろう。

 もっとも、ホヤの中にたいていペアでいると言われるこのエビではあるけれど、いつもいつも立派なサイズのものばかりというわけではなく、ときには↓こんなに小さいこともある。

 クラシカルアイでは、出てきてくれたことに気がつかないかもしれない…。

 ちなみにこのエビは、元々ホヤの外側にいるのではなく、ホヤの中に住んでいる。大きなホヤなら光を当てながら覗き込めばホヤの中に居るところを観ることもできるだろうけど、そのお姿を「撮る」ためには、ホヤの中に出てもらわなければならない。

 でもそれってつまり、いじくられるチャツボボヤにとっては、ダメージはけっして小さくはない。

 「いいヒト」ぶるわけじゃないけど、それもあって私のこのエビとの出会いは随分遅れることとなったわけで、その間一度たりとも一生懸命探したことはない。

 冒頭の写真の子は、どういう風の吹き回しか、一時期このエビにハマッていただんなが見つけてくれたもので、実はいまだに自力で見つけたことはない。

 というわけで、見たい方は自力でお探しくださいね♪