体長 10mm
このエビは、カクレクマノミが好んで宿にするセンジュイソギンチャクでよく見かける。
見かけるとはいっても、カクレエビというだけあって「エビでござい~!」とばかりに表にいるわけではなく、しかも触手がある表面にすらいない。
彼らはセンジュイソギンチャクの体の裏側から触手ゾーンの際あたりにいるのだ。
普段のセンジュイソギンチャクは↓こういう状態になっているから、その裏側にいるエビなんてそうそう観る機会には恵まれない。
ところがどういう加減か、センジュイソギンチャクは近隣の個体とタイミングを合わせるようにして、ツボ状になるときがある。
この仕組みの詳細は不明ながら、このツボ状になっている時、なりかかっている時、元に戻ろうとしている時が、このエビを観察するチャンスだ。
PCでご覧の場合、↑この写真をクリックすると大きな写真になりますので、センジュの番人を探してみてください(写真の中でエビは極小です)。
イソギンチャクがツボ状になるのは住人のカクレクマノミにとっても予期せぬことなのか、けっこう右往左往している。
それはカクレエビにとっても同様らしく、いきなり表舞台になってしまったイソギンチャクの裏側の心地よさげなスベスベ部分を、サカサカと動き回っている。
もっとも、光を当てて撮ってもこれといって特徴のないそのボディは、海中ではさらに地味地味ジミーで、冒頭の写真こそ背景がイソギンチャクの触手だから体が観やすいものの、イソギンチャクの裏側にいると…
目立たないこと甚だしい。
写真を多少見やすく加工してみると、そのボディはこんな感じだ。
やっぱり地味…。
たとえこのエビに気がついたとしても、瞠目するのは一部の変態さんたちだけだろう。
一部ですらないのか、けっこう見かけるエビなのに、いまだにその写真を図鑑で目にしたことがない(2022年2月現在)。
なのでその姿形と暮らしぶりからカクレエビの仲間と私が勝手に思っているだけで、実はまったく違う仲間かもしれないし、とっくの昔に図鑑に載っている既知のエビかもしれない。
そのあたりのジジツ誤認につきましては、悪しからずご寛恕いただくとともに、「正しい認識」についてそっとご教示お願いいたします。