甲幅 40mm
水納島にはオカガニがたくさんいるので、たまに見かける紫色のカニさんを、紫色タイプのオカガニの仲間なのだろう…と思う方もいらっしゃるかもしれない。
たしかにムラサキオカガニという種類が沖縄にはいるし、水納島にいたっておかしくない。
でもこのカニさんは、オカガニとはいささかフォルムが異なる。
それもそのはず、このカニさんはその名をカクレイワガニといい、オカガニたちとは違いイワガニ科に属している。
鮮やかな紫色のハサミ脚や、甲羅の両サイドに入るシワ模様、そしてハサミ脚の付け根付近にある戦闘的なノコギリ状の部分がその特徴だ。
ザ・オカガニに比べると随分小さく、色もきれいだから「きれい・カワイイ」系でもっと有名でもよさそうなものなのに、オカガニに比べると知名度はかなり低いと思われる。
それもそのはず、図鑑によるとこのカニは、もっぱら夜間が活動時間帯で、日中は表に出てこないのだそうだ。
なので彼らを目にする機会はといえば、夜中に家の敷地内とか道路脇で、↓このように夜陰に紛れている状態が多いのだろう。
これじゃあ「きれい・カワイイ」対象としてヒトの目に触れる機会はなかなかあるまい。
ところが冒頭の写真を撮ったのは、前述のとおり昼食後の散歩中のことで、しかも道の真ん中。
晩秋の曇り空だったとはいえ、思いっきり日中から外に出ていた。
おかげで久しぶりに写真を撮ることができたのだった。
その翌年に、元号が平成から令和に変わった。
まさかその変化が、カクレイワガニが脚光を浴びるきっかけになろうだなんて、いったい誰が予想しただろうか。
というのも、令和になってからとある有名水族館で、「名前に令和が入っているカニ」ということでこのカクレイワガニが緊急登場したようなのだ。
なるほど、「カクレイワガニ」。
カクレイワガニ自身も、まさかこんなところで脚光を浴びるなどとは、夢にも思っていなかったことだろう。
その後「令和のカニ」なんて話はまったく耳にしないところをみると、脚光はほんの束の間のことだったと思われる…。
※アップする前に追記
この稿をアップしようとしていた日(2022年7月23日)朝、庭先をカクレイワガニが散歩していた。
あまりにもタイムリーだったから思わず写真を撮ったところ、どうやらメスのようで、お腹に卵を抱えていた。
でもこの日はすでに満月から一週間以上経っており、一週間後には新月になる月齢なんだけど、今頃卵を抱えていて大丈夫なんだろうか?
イワガニの仲間は、お月様の周期と関係なく産んでいるのかな?