甲長 7mm前後
日中は石の下に潜んでいる系のコシオリエビの仲間たちには、地味地味ジミーなものが多い。
それとは対照的に、昼間から表(といっても何かについていることが多い)にいるコシオリエビたちは、わりとカラフルなビジュアル系だ。
カラフルな色味は生息環境に合わせたものだとすると、同じ種類でも地味地味ジミーなものがいるのかもしれない。
なので、これまた私ごときシロウトが、色味だけで誰それと同定できないのは言うまでもない。
区別不能だから、これまで撮ったわりとカラフルなコシオリエビたちを「ビジュアル系」としてまとめ、ズラリと並べてみたのが冒頭の写真だ。
1番はおよそコシオリエビらしからぬカラフルさで、かつて一世を風靡したレッドビーシュリンプばりのおめでたい紅白模様。そのカラフル度合いは他の追随を許さない。
ただ、こんなにわかりやすくハッキリした色彩的特徴だというのに、調べたかぎりでは世にビンゴ!な写真がまったく見当たらない。
ビンゴ!はなかったものの、ネット上に出ていた Galathea platycheles という種類の標本写真に似ていた。
残念ながらこの学名で検索してもヒットするのは標本写真ばかりで、生前の姿を確かめることができない。
2番は、砂底に転がる小さな岩に絡まったまま長年経っているロープの切れ端についていたコシオリエビで、よく見かけるコシオリエビたちに比べ、ハサミ脚がやたらと長いのが特徴的だった。
とはいえその「特徴的」な特徴だけでは当然ながら正体を明かすことなど不可能で、おまけに出会いは今のところこの時(2013年6月)かぎり。
一方、正体がわからないのは同じでも、同じ場所で2度出会うことができたビジュアル系が3番のコシオリエビだ。
赤いカイメンについているからなのか、緑の中を走り抜けていくポルシェなみに真っ赤なボディのこのコシオリエビ、水深30m超で照度が低いからか、ほぼフルボディを惜しげもなく披露してくれるお利口さんだった。
2ヵ月間をおいて再訪しても同じところにいたから、さらにこのままずっと居続けてくれるのかと期待していたところ、その年(2020年)かぎりで今はすっかりGone。
4番は砂底上にポツンといたもので、こういう場所に居るにしてはわりと派手めな色合いだ。
上から見るとこんな感じ。
これまた正体不明ながら、少なくともここで挙げている他の3枚の写真のコシオリエビとは別種だろう。
その他、過去に撮ったことがあるビジュアル系としては、↓こういうものもいた。
トゲトサカの仲間についていたもので、住まいの色味に合わせた色になっているけれど、ひょっとしたら3番と同じ種類なのかも…という疑い(?)もある。
トサカの仲間についているからといって、そこに住んでいるとはかぎらないコシオリエビたち。
↓この淡い色味のコシオリエビも、写真だけ見るとトサカの色味に合わせてそこに住んでいるように見えはする。
でも実際は、ささやかなトサカの根元あたりについていただけ。
ひょっとしたら、たまたま乗っかってみました…ということなのかもしれない。
いささか反則ワザながら、↓このようなものもいた。
白い砂底にいるにしては派手過ぎるボディカラー、そしてコシオリエビなのに腰を折っていない姿に目を奪われ、やや興奮気味に撮った…
…のはいいけれど、実はこのコシオリエビ、すでに力尽きていたらしく、そばに寄ってきたオシャレカクレエビがしっかりキープして食べようとしていた。
目玉がちゃんとあるから脱皮殻ではなさそうなところをみると、完全に死んでいるのだろう。
死後間もないっぽいし、そもそも死んだからといって殻の色が変わるわけじゃないだろうから、きっと生前もこの色味だったと思われる。
「青い模様がある赤いコシオリエビ」で検索してみたところ、ミヤケコシオリエビ(Sadayoshia edwardsii)という種類に似ていた。
聞いたことがない名前だなぁと思いきや、「エビカニガイドブック伊豆・八丈島編」にドンと載っていた…(ただし図鑑に掲載されている写真はさほど鮮やかな色ではない)。
ミヤケコシオリエビの写真を掲載していたサイトや図鑑によると、ゴロタなど石の下にすぐ逃げ込めるようなところにいるタイプのコシオリエビのようだ。
たった3年前のことなのに撮影時の記憶がまったく無い自分に恐れをなしつつ推測してみるに、オシャレカクレエビがいるってことはすぐ近くに根や岩などがあるはずで、その周辺に転がる死サンゴ石など際にいたのだろうか。
死後の姿しか見たことがないこのコシオリエビ、生前はどこにいるのか、ホントにミヤケコシオリエビなのか。
ご存知の方、テルミープリーズ!