体長 10cm
写真のエビを撮影したのは、ナイトダイビングをしていたときのことだった(ちなみに1998年のこと)。
見つけた当初は、色がきれいで割合大きなサラサエビの仲間と思った。
ところが、サラサエビの仲間はライトを当てると、たいていサササと岩陰に引っ込んでしまうのに、なぜかコイツはしばらくじっとしていた。
しめしめと思いながら慎重にカメラを近づけ、とりあえず全身を撮ってみた。
その時、ファインダーの中でコイツの目玉が体にめり込むのを見たのである。
ちなみに、サラサエビの仲間の目は固定式なので、↑このように収納スペースに目玉をめり込ませることはない…
…はずなのに、なぜ?
予想だにしなかった出来事にしばしボーッとしていると、再びその目玉がニョキニョキと出てきた。
あまりにその様子がおもしろかったので、この目玉の一連の動きを連続写真で撮ろうと思い、さらに近寄って再びストロボをビカッと浴びせると、やはり目玉はめり込んだもののやがて慣れてしまったらしく、めりこみ度は最初ほどではなかったし、ニョキニョキ出てくるのもあっという間だった。
それにしてもなぜこのサラサエビの仲間はこんな技を持っているのだろうか。
他のサラサエビたちなら絶対にあり得ないのに。
……と長い間不思議がっていたところ、実はコイツはクルマエビの仲間であるということが1年後(99年)に判明した。
クルマエビの仲間は、総じて目がこのように動くのだそうだ。
でも砂に埋まるクルマエビが目を引っ込めるのはわかるけれど、岩礁域にいて何か役に立つことがあるのだろうか?