エビカニ倶楽部

ニシキエビ

体長 60cm

 イセエビの仲間では最大となるニシキエビは、ゴシキエビですら足元にも及ばないほど巨大で、海中で観ればほぼエイリアン級、一歩間違えれば南海でゴジラと戦ったエビラになりそうな勢いすらある。

 50~60cmもあろうものなら、海中での体感サイズはその1.5倍、触角も含めばメーター超級のド迫力だ。

 でも周りにいる小魚にとってもまったく脅威ではないらしく、砂地の根の暗がりに潜んでいたニシキエビは、キンギョハナダイに囲まれてずいぶんメルヘンチックになっていた。

 彼らは夜行性なので、日中は暗がりに潜みつつ、長い触角をアヤシゲに動かしながらジッとしている。

 ニシキエビが潜むにはどう見ても狭苦しく見える隠れ家にいるから、たとえ運よく出会えたとしてもそこにいる姿を観るのも撮るのもなかなかキビシイ。

 ところが一昨年出会ったニシキエビは横に開いた小さな穴からも覗き見ることができたので、コンデジで撮ってみた。

 ニシキエビ、やっぱデカいわ…。

 日中に潜んでいる隠れ家が狭苦しくても、夜な夜な徘徊したあと体を納めるだけだから、これといって支障はないのだろう。

 一時休憩所でしかないとなると、ずっと同じところに居続ける意味はあまりなさそうで、たとえ出会えても翌日には必ず姿を消す…

 …ものだとばかり思っていたところ、先のニシキエビは、いたりいなかったりしつつも同じ場所で2ヵ月くらい観ることができた。

 それはお腹に卵を抱えていたメスだったから、卵保育中はさほど遠出をしない、ということなのかもしれない。

 メスでさえこのド迫力サイズということは、オスはいったいどういうことになるんだろう。

 というか、こんな巨大なエビのオスとメスは、いったいどこでどのように出会っているんだろう?

 ニシキエビはチビもオトナも本来はもっと違う環境にいるのか、これまでチビには会ったことはなく、何を隠そう私がオトナに出会ったのは今のところこの1匹だけ(だんなはこれが人生3匹目)。

 むしろ、探せば出会えるフリソデエビのほうがよっぽど頻度高く出会えるくらいだから、ニシキエビとの遭遇ともなれば千載一遇と思って間違いない。

 ただしたとえデカくても触角に触れたり強い光を当てたりすれば奥に引っ込んでしまうので、出会えたからといって慌てふためくことのないよう、慎重に慎重に……