エビカニ倶楽部

オキナワハクセンシオマネキ

甲幅 20mm

 ひと昔前の低性能ワープロソフトで「おきなわはくせんしおまねき」と打ってから返還すると、「沖縄は苦戦しお招き」となることもあったけど、無論のことこれは沖縄白線潮招き…

 …と誤解されがちながら、これは「白線」ではなく「白扇」潮招き。

 オスが大きなハサミ脚を振る様子が、白い扇を振っているように見えるということに由来しているのだろう。

 ハクセンシオマネキという種類がいて、本土でいうところの「シオマネキ」といえば、ほぼこのハクセンシオマネキのことを指すのだそうだ。

 その亜種、もしくは別種という扱いになっているのがこのオキナワハクセンシオマネキ。

 ザ・ハクセンシオマネキとどこがどう違っているのか知らないけれど、温暖化のせいかもともとなのか、九州南部あたりでは両種が混在しているかもしれない…という話もあるという。

 やがて「どちらも一緒だね」なんてことになると、栄えある「オキナワ」が冠されたこの和名は姿を消してしまうかも?

 和名がなんであれ、オキナワハクセンシオマネキもまた、水納島の干潟で普通に観られるシオマネキだ。

 ただ、ベニシオマネキやルリマダラシオマネキに比べると色味がおとなしめだし、ヒメシオマネキのでかさに比べると小ぶりということもあって、他の3種に比べると、デジカメになってからカメラを向ける機会がかなり少なかったことに気がついた。

 フィルムで撮っていた頃はけっこう撮っていたと思うのだけど、あいにくそれらの写真は「カニ」とジャンル分けしたファイルではなく、「陸上」という項目の写真に混ざってしまっているために、過去フィルムサルベージ担当のだんなには少々時間が必要らしい(ヒトゴト)。

 そのため、個体ごとに模様が様々という背中から撮った写真が全然なくて、かろうじて…

 この1枚があるのみ。

 これだけじゃあ「様々」感がまったく無いから、そのうち干潮時に干潟まで行って撮ってこなきゃ。

 ところで、陸水系が無い水納島の干潟は河口ではなく、内湾に泥が堆積しているものだから、「河口の高潮線付近に生息する」という図鑑の解説にはいささかマッチしないところで暮らしている。

 だからだろうか、他所(億首川河口)で観たオキナワハクセンシオマネキは、その名のとおり純白の扇に見えるハサミ脚、そして体や各脚も白かった。


@億首川河口

 それに対し水納島の干潟で観られるものは、なんだか薄汚れた感がある。

 河口域における彼らの本来の暮らしの場よりも、水納島の干潟は泥度合いが高いからだろうか?

 環境的にはやはり河口域の高潮線あたりが適しているのか、億首川の河口では個体数がやけに多かった。


@億首川河口

 この密度で、かなり広範囲に広がっていた。

 また、水納島の干潟ではなかなか目にできない大きな個体も目についた。


@億首川河口

 左下の個体のハサミ脚のなんと巨大なことか。

 あ、はからずも背中の模様の別パターンもこれで確認できた。

 うーん、それにしても立派だ、億首川のオキナワハクセンシオマネキ。


@億首川河口

 水納島の裏浜の干潟にも、このような立派なオキナワハクセンシオマネキがいるんだろうか。

 思いっきりたくさんいるのに気づいていなかっただけかもしれないから、とにかく次回の干潟散策ではビッグサイズサーチをしてみよう。

 ありゃ?そういえばメスの写真も持ってないや…。

 ではビッグサイズとメスサーチってことで。

 さっそく追記

 炎天下に命を賭して干潟を歩くかわりに、昔撮ったフィルムの海を泳ぐことにした。

 そして昔取った杵柄ならぬ昔撮ったカニフォトのなかに、オキナワハクセンシオマネキの背中を発見。

 やはり同じ場所にいても、甲羅の模様は様々らしい。

 もちろん背中だけではなく、前から撮ってもいた。

 なにしろ30年近く前のことなので撮影時の記憶はまったく無いのだけれど、このアングルからしてほぼカニ目線で撮っていたのだろう。

 干潟でカニ目線ということはすなわち、泥まみれになりながら寝そべっていたわけで、それはそれで当時は先端を行く変態社会人だったのかもしれない…。

 真夏の炎天下でのシオマネキ観察は、くれぐれも熱中症にご注意ください。