体長 15mm
リニューアルする以前のエビカニ倶楽部で私は、このエビを「ヤエヤマロウソクエビ」として紹介していた。
その根拠は…
一般向けに限定すれば1990年代におけるエビカニ掲載種最多図鑑だった「沖縄海中生物図鑑・甲殻類編」(新星図書出版刊)において2種類紹介されているロウソクエビの仲間のうち、ヤエヤマロウソクエビとして紹介されているもののほうに似ていたから(もう一方は標本写真だったからともいう)…
…と、根拠薄弱も極まれり的テキトーな同定だったのだけど、「間違っている!」と断言するほどロウソクエビの仲間に詳しい方はいなかったのではなかろうか(あくまでも一般変態社会内)。
おそらくそれは、ごく一部の人々を除いて今も変わらないと思われる。
そもそも日中には見られず、もっぱらナイトダイビングの際にお目見えする小さなエビだから、どの種類であれまったくもって認知度は低い。
ただし認知度は低くとも、ひとたび夜の海に繰り出すとワラワラ…と海底に現れているので、夜潜ることが多い方は眼の端にやたらと入っているはず。
だからといってわざわざ撮影しようというヒトは、よほどの変態さんに違いない(※個人の感想です)。
種類によってはおりこうさんのものたちもいるのかもしれないけれど、なにしろ冒頭の写真のロウソクエビの仲間たちときたら、いざ撮影しようとライトで軽く照射しただけで、砂に潜るわ逃げ出すわ、すぐにその場からいなくなってしまうのだ。
逃げるといってもすぐそばに場所を移すのではなく、彼らは腹肢を使ってけっこう長い距離をパタパタパタパタ……と侮れない早さで移動するため、1度ファインダー内から去られてしまうと再び同じ個体に巡り会うことは極めて難しい。
幸い個体数は多く、ライトの照射範囲だけでさえ5~6匹いたりするので、1匹に逃げられれば次の1匹、また逃げられたら次の1匹…とネクストチャンスには事欠かない。
しかしそれを活かせない(※個人の能力です)。
カメラを向けるたびにことごとく砂に潜られたりパタパタパタパタ……と逃げられ続けることになり、しまいには
「もぉ~、みんなカキアゲにして食べちゃうぞ!キーッ!!」
…とキレてしまうことになる(※個人の感想です)。
そこをグッとこらえて辛抱していれば、ちょっと動きが鈍かったりなぜかジッとして動かないものに巡り会えることもある。
もっとも、↑この写真のエビと冒頭の写真のエビが同じ種類なのか異なる種類なのか、写真を見くらべてさえわからないのだから、チャンスを逃し続けていたロウソクエビの仲間たちの種類なんてまったく知りようがない(※個人の能力です)。
たくさんいるわりには撮るのに苦労させられ、撮ったからといってなんらかのゲインがあるわけでもないエビ、ロウソクエビの仲間たち。
それでも撮り続けているうちに、ロウソクエビマスターとなれる日が来るのだろうか?
そのためには、夜な夜なロウソクエビを求めて海に繰り出さねばならない。
晩酌の時間を捨ててまでロウソクエビマスターになりたい…とは思わないなぁ(※もちろん個人の感想です)。