甲幅 5mm
これまでに撮ったことがあるコシオリエビの仲間の写真はもう出し尽くしたかな…と思っていたら、6年前(2016年)にだんなが撮ったまま放置プレイになっていた写真が見つかった。
それも、けっこうレアっぽい。
普段何かというと「撮った写真を私蔵するだけ」と私を責めているくせに、自分も同じようにハードディスクの海に眠らせていたらしい。
遅ればせながら日の目を見ることとなったこのコシオリエビ、パッと見だけでも、よく見かける種類とは一線を画す異彩を放っている。
ハサミ脚の模様などはけっこう特徴的だから、ビンゴ!な画像をネット上や図鑑ですぐさま見つけることができそう…
…と思いきや、これがまったく見当たらない。
雰囲気はミヤケコシオリエビ(Sadayoshia edwardsii)に似ているものの、肝心のハサミのところの模様が全然違っている。
はてさて、既知の種類なのだろうか?
さっそく(といってもだんなが撮影してから6年経っているけど)F教授に教えを請うたところ、ミヤケコシオリエビと同じSadayoshia属の1種で間違いないとのこと。
あいにくこのグループのコシオリエビたちの多くは標本と生前の体色との突き合わせが行われていないため、ハサミの色模様だけで何をどうと言えるものではなく、現在のところ写真だけでは種の同定はできないそうだ。
それをふまえつつ、
額角の雰囲気から日本未記録の種かなと思います
とのご教示をいただいた。
いまだ国内未記録かもしれない種類を、6年間もハードディスクの海に眠らせていたとは…(ここぞとばかりにブーメラン)。
ちなみに額角とは、眼と眼の額(?)部分から伸びる戦闘的なツノのことで、冒頭の写真は正面だからわかりづらいのだけど、横から見ると↓こんな感じになっている。
だんなによると、そのポイントで潜る時は必ずといっていいほど立ち寄るピンクのハタゴイソギンチャクのすぐ近くにたまたまいたものだそうで(水深20mほどの砂底の根)、前から横から撮らしてくれるほどにはおりこうさんだったらしい。
あいにく私は一度も観たことはないし、その後だんなも同じ場所でも他の場所でも再会は果たしていないというから、その時は偶然が重なった奇跡の一期一会だったのかもしれない。