体長 25mm
サンゴモエビという、シンプルなようでありながら、サンゴか藻かどっちかにしてくれ的なヤヤコシイ名前のエビは、水納島ではリーフ際やリーフエッジあたりの浅いところで育っているトゲサンゴやハナヤサイサンゴでよく見られる。
ただ、サンゴの枝間にいるために体全体を写すのが難しいし、いつでも観られるエビでもあるから、かつての私にとっては、そういうエビカニにありがちな「まぁそのうちね」の一員だった。
ところが98年の世界的なサンゴの大規模白化と、それに続くサンゴの壊滅により、サンゴの住人である彼らの姿を見る機会は突如激減してしまった。
死サンゴの枝の間でも見られるから、サンゴ壊滅がすなわちサンゴモエビの死滅ということではないのだろうけど、やはりビジュアル的に生きているサンゴにいてくれたほうがいい。
おそらくそれは、暮らしているサンゴモエビにとっても同じだろう。
白化直前にたまたま撮れた全体が見えていた写真では、のんびりと後ろ側の脚を使って目のあたりをかいているサンゴモエビ。
まさかこのあと、住処がことごとく失われる大カタストロフィーに見舞われようとは、神ならぬ身の彼の知る由もなかったことだろう。
このときがシアワセの絶頂期だったに違いない。
かくいう私もまさかそのような大惨事になるとは知らず、あれほどいたサンゴモエビをあわや1枚も撮らないままになってしまうところだった。
なので、ようやくサンゴが復活してきてその枝間でサンゴモエビの姿がフツーに観らえるようになってくると、「まぁそのうちね…」を改めよう…
…としたものの、やっぱりサンゴの枝間は狭すぎ。
なかなか体全体を撮れない。
そうこうしているうちに、98年ほどではないけれどかなりの規模の白化が2016年に発生してしまい、リーフのサンゴがあわや壊滅の憂き目に遭いかけた。
なんとか踏みとどまってくれたから、サンゴモエビも引き続き観察できて、ようやく体全体が撮れた…
…と思ったら、それは死んだサンゴの枝上なのだった。
ひとつのサンゴ群体にワシャッてくらいにたくさんいることもあるほどフツーにいるのに、なかなか撮れないサンゴモエビ。
いつまでも、あると思うなサンゴ礁。サンゴが元気な今のうちに、枝間にいるサンゴモエビの姿をしっかりおさめておこう。