体長 2cm
エビの中には魚の寄生虫やら食べ残しのカスやらを食べる、いわゆるクリーナー=お掃除屋さんと呼ばれるものがいる。
数あるクリーナーシュリンプたちのなかでも抜群の知名度を誇っているのが、このソリハシコモンエビだ。
ただし体がほとんど透明なうえに、日中は岩の窪みや洞窟に住んでいるので、知らずに潜っているダイバーにとってはさほど目立つ存在ではない。
彼らの地道な日々の働きを見るには、砂地の根の際あたりの薄暗い場所をそっと覗いてやるとよい。
脚をブラリと下げ、体をフワッと浮かせてツイーンツイーンと心地よさげに泳いでいる姿を観ることができるだろう。
その際、一番後ろ側のひと際長い脚が、バランサーのようになっているのが面白い。
彼らは単独で暮らしているのではなく、同じ暗がりで団体生活をしている。
どこでも↑こんなにたくさんいるというわけではないけれど、これくらいいるところはすなわち訪れるダイバーが少ないところという法則が成り立つので、ダイバーをさほど警戒しないことが多い。
そこでそっと手を差し出すと…
ワラワラ集まってくるソリハシコモンエビたちが、団体でクリーニングを始めてくれる。
チクチクする程良い刺激が大変よろしい。
お掃除してもらいたい魚も、このようにソリハシコモンエビたちが暮らしているところへスーッと入ってきて、身をゆだねる。
エビ自体に遊泳能力があるものだから、キンギョハナダイとしてもケアを受けやすいようだ。
普段は中層で泳いでいるキンギョハナダイは、クリーニングをしてもらうためにわざわざここまで足を運んでいるのに対し、最初からこういう暗がりにいるゴマウツボは、四六時中クリーニングしてもらえるから便利なようだ。
年がら年中このように世のため魚のため掃除生活を送っているように見えつつ、自らの繁殖にも抜かりはないので、ワラワラ浮かんでいるものの中には…
お腹に卵を抱えているメスも混じっていることが多い。
上の写真ではまだ産卵後間もない感じながら、卵の発生がもう少し進むと…
…お目目ができてくる。
やっぱ卵の時から複眼なのだろうなぁ…。