(Viaderiana sp.)
甲幅 3mm
クラシカルアイになってしまう前に、まだ見えるうちに…ということで、1本につきめくる石5個限定で石の下のエビカニたちをマイブームにしていただんなが、その日4個目くらいの石をめくったときに出てきたのが冒頭の写真のカニさんだ。
2012年の夏のことである。
「エビカニガイドブック久米島編」によると、まだ和名がない Viaderiana taeniola という学名のカニとのことで、図鑑に掲載されている写真は、1906年に新種記載されて以来およそ100年ぶりに再発見されたという激珍カニとして紹介されている。
この図鑑の刊行から9年経っていたこともあり、初遭遇時点ですでにネット上では同種のカニの写真をけっこう見ることができたから見比べてみたところ、ネット上のこのカニの写真では脚の色がもっと黄色っぽいのに、冒頭の写真のカニさんはやたらと美白だ。
砂の色に合わせているのだろうか。
…と、当時はネット上で観ることができる Viaderiana taeniola との違いはその程度だとばかり思っていた。
ところが現在の帝国化したエビカニ変態社会では、冒頭の写真のカニさんと Viaderiana taeniola は、別の種類であろう、ということになっているらしい。
いったいどこが違うのか。
それは背中の模様だ。
リボンケブカガニという和名がつくかも…という噂もある甲羅のステキなリボン模様、だんなが撮ったカニさんのリボンは上下のラインが斜めになって甲羅の端まで届いているのに対し、ザ・ Viaderiana taeniola の上下のラインは、甲羅中央より下には伸びていないのである。
そんなの、「変異」ってことでいいじゃん…。
と言いたいところながら、エビカニ変態帝国法では明らかに別種、ということになるのだろう。
この異なる種のカニには学名すらつけられていないので、ザ・ Viaderiana taeniola ではないとなれば、当面 Viaderiana sp. ということになるようだ。
両者の対比のためにも、ここは是非ともザ・ Viaderiana taeniola を発見して模様を見比べたいところながら、私はもう石の下の環境保全協会を立ち上げてしまったし、だんなはもはや甲幅5mm未満のカニさんなど見えない。
残念ながら自力で出会う機会はまずないといっていいだろう。
ここはひとつ、ゴッドハンドO野さんに期待しよう。p>