甲長 20mm
パッと見はイソギンチャクを貝殻に付けていそうに見えるけど、基本的にイソギンチャク類とは縁がないらしいテナガヤドカリ。
わりと深めの砂底にいるというイメージなんだけど、図鑑的にはタイドプールや浅いところで観られるとある。
冒頭の写真も含め、わりと深めの砂底にいた↓これらのヤドカリさんたちは、テナガヤドカリだと私が思い込んでいるだけで、実はみな異なる種類なのだろうか。
後半の2匹はまだ若いから余計違って見えるものの、眼や眼柄のあたりは同じように見える。
図鑑にはまた、「時折、赤味の強い個体も見られ、体色には色彩変異がある」とも書かれてあるから、これくらいの色の違いは「変異」の範囲なのかもしれない。
浅いところといえば、ビーチで潜っている時に出会った↓これは…
色といい居場所といい、間違いなくテナガヤドカリのはず。
いずれにしても、なるほど、イソギンチャクを貝殻に付けていないものばかり…
…と思いきや、水深15mほどの砂底で出会った子は、小さなイソギンチャクをつけていた。
あらためて図鑑を見てみると、「宿貝の表面にイソギンチャクを付けることはないが、殻口の下に付けることがある」と述べられている。
なるほど、こういう状態のことか…。
ところで、深めの砂底で出会うテナガ(と私が思っている)ヤドカリは、立派なリュウキュウタケノコガイ系の貝殻を利用していることもよくあった。
リュウキュウタケノコガイはわりと大きく見栄えのいい貝殻なので、これまた貝殻コレクターさんたちの目を引く。
そのため「貝殻と見るやとにかく手に取ってみる」派のダイバーは、それがホントに貝殻なのか、貝なりヤドカリなりの中身が入っているのかをチェックするわけだけど、細長い貝だからヤドカリだといるのかいないのかハッキリしないことが多い。
そのためてっきり貝殻だと思い込みそのまま持っていたら、ヤドカリさんが出てきた…ということがちょくちょくあるはず。
ヤドカリとしてはさほど注目を浴びることもないにもかかわらず、ダイバー由来の災難の頻度はなにげに高いテナガヤドカリ。
リュウキュウタケノコガイといえば、生きている貝であれヤドカリであれ、水納島の砂底ではごくフツーに観られたものなのに、いつの間にかほとんど見かけなくなった気がする。
貝がまだ生きていようとヤドカリが入っていようと、貝殻ゲットのために持って帰ってしまう心無いダイバーが増えたせいなのか、それともリュウキュウタケノコガイ自体が減ってしまったからなんだろうか。
サンゴの白化のように誰の目にも明らかな大激変も困ったモンダイだけど、ジワジワヒタヒタと忍び寄るネガティブな変化も、なにげに不気味で空恐ろしい。