甲幅 15mm
石の下から現れるオウギガニの仲間は数多い。
ただ、オウギガニの仲間を目当てに石をめくるメクリストはかなりのマイノリティで、多くの場合、釣りで言うところの外道扱いにされていると思われる。
現在のような撮影可能枚数ほぼ無制限のデジタルカメラであればともかく、限られたフィルム枚数を外道に充てるヒトなど、よほどのエビカニ変態社会人といっていいだろう。
…って、冒頭の写真をフィルムで撮っていた当時の私は、ひょっとするとそこに該当してしまっていたのかもしれない…。
冒頭の写真のカニさんは、一見するとベニオウギガニのように見えるけれど、甲羅の凸凹模様をつぶさに観ると、どうやらチリメンベニオウギガニらしいことがわかる。
…と言われても、カニ類を多数掲載している一般向け図鑑に掲載されているチリメンベニオウギガニの写真は、甲羅が白い、もしくはクリーム色になっている個体ばかりだから、にわかには信じがたいかもしれない。
でも図鑑の解説によると、チリメンベニオウギガニには↓このように全身が真っ赤な個体もいると述べられている。
というか、短期間とはいえ石の下をサーチしていた頃に、甲羅が白いタイプのチリメン君を見た覚えがない。
ちなみに上の赤いチリメン君は水深7mほどの死サンゴ石ゴロゴロゾーンで出会ったもので、石の下から現れた姿は白っぽい海底にいるとよく映える。
こんなに目立つ色をしていたら、たちまち外敵に襲われてしまいそうに思えるけれど、日中の彼らは石の下、そして活動するのは夜だから、何色をしていようとほぼ関係ないみたい。
ということはやはり、同じところでもいろいろな色のチリメン君がいるってことなんだろうか…。