甲幅 10mm
冒頭の写真のカニは、キンチャクガニやフリソデエビを探していただんなが、そっと石をめくったときに出てきたらしい。
キンチャクガニやフリソデエビを探しているときにこのような地味地味ジミーに出会っても、たいていのヒトは見向きもしない。ましてやフィルムで写真を撮っていた頃のことにもかかわらず、どういうわけか1枚だけ写真を撮っていただんな。
とはいえ特徴的な何かがあるわけじゃなし、さほどインパクトもないし、図鑑で特定するのは難しいだろう…
…と思いきや、意外にも「ビンゴ!」と思えるカニさんが図鑑に掲載されていた。
どうやらこのカニさんは、その名をツブヒヅメオウギガニというようで、成長するともう少し大きくなる種類らしい。
前に倣えをしているかのように両のハサミ脚をまっすぐ伸ばしているのが特徴…だったらわかりやすかったところながら、これはたまたまのようで、図鑑やネット上の写真を見るかぎりではごくごく普通のカニっぽくハサミ脚を曲げている。
となると、よほどのオウギガニの仲間マニアででもないかぎり、出会っていてもまったく記憶にも記録にも残っていない可能性すらある地味地味ジミー。
もとよりだんなが「オウギガニの仲間マニア」であるわけはなく、たった1枚とはいえ当方唯一の記録として残っているのは、だんなの「ほんの気まぐれ」の賜物なのである。
たとえ地味地味ジミーでも、手元の記録がオンリーワンであれば、ある意味「貴重」なツブヒヅメオウギガニなのだった。