体長 15mm
エビやカニが大好き!というヒトたちが、あまりにもマイノリティであるためにカミングアウトしづらかった前世紀末頃は、研究者のもとに集まる情報が極めて少なかったこともあり、ウミシダを住処にするエビとして図鑑に載っている種類は随分限られていた。
なので私のようなシロウト感覚では、「ウミシダの色に合わせて色が様々でスマートなエビはウミシダヤドリエビ!」で済んでいた。
ところがその後、それまでウミシダヤドリエビと信じていたモノたちが次々に別のエビ認定されていき、最初に覚えた「ウミシダヤドリエビ」はいったいどこに?くらいの存在になってしまった。
折悪しくその頃から水納島の砂地のポイントではウミシダ類、特にハナウミシダやリュウキュウウミシダといった色とりどりの美しい種類が激減しはじめ、かつていつでもといっていいくらいに出会えていたウミシダについているエビたちと、すっかり疎遠になってしまった。
冒頭にラインナップしている写真はいずれもフィルムで写真を撮っていた頃のもので、とりあえずウミシダヤドリエビと今もなお信じているエビたちだ。
少なくともどれかはウミシダヤドリエビだろうから一応記録を残せているとはいえ、デジイチを使用するようになってからの私は、今に至るもザ・ウミシダヤドリエビの写真を1枚も撮っていないのではなかろうか…。
…ということに気がついた昨年(2021年)、わりと深めの海底で、↓このエビに出会った。
一見カイメンの上で暮らしているように見えるけれど、普段からこれじゃあ目立ってしょうがない。
実はトリミングせず角度を変えなければ、この写真は↓こうなる。
右側に写っているウミシダが本来のおうちに違いない。
小さめの別個体も、ウミシダのそばのカイメン上を散歩していた。
はて、このエビは誰だろう?
そこでハタと気がついた。
これはザ・ウミシダヤドリエビなのではあるまいか。
ウミシダ〇〇と呼ばれる他のエビと比較すると、目の端に小さな突起が無いというのもウミシダヤドリエビの特徴らしいのだけど、この写真のエビの眼もほとんど真ん丸だ。
そこでまた、ハタと気がついた。
リニューアルする以前に「ウミシダカクレエビ」と紹介していた写真↓も、実はウミシダヤドリエビだったのでは…。
そういえばこのエビの周りにいた小さめの個体は、↓こういう感じだった。
やっぱこれ、ウミシダヤドリエビですよね?
なんだ、ウミシダヤドリエビっていったら、色とりどりのウミシダの色に合わせたカラフルシュリンプと思っていたら、ウミシダの色に合わせるだけに、こういう色合いのものもいたのか…。
カビが生えた昔のフィルムをスキャンした画像に比べれば、最初からデジタルの画像のほうがよっぽど色鮮やかになるはずなのに、この色じゃなぁ…。
砂地のポイントでウミシダが絶滅危惧種になっている今、明るい海でのウミシダサーチは条件的になかなかキビシイのだけれど、かくなるうえはまだウミシダが多く見られる岩場のポイントに足繫く通い、ディッシュドアイ(目を皿のようにするという意味の造語)機能全開でウミシダとオトモダチにならねば…。