体長 10mm
アザミカクレモエビの稿で紹介している、よいち氏が最初に見つけたエビ、そしてわざわざイラストで描いてくれたエビこそが、このウズラカクレモエビなのだった。
よいち氏のおかげでアザミカクレエビと出会うことができ、後日再び写真を撮ろうと訪ね、ウネウネするトサカの枝にいるアザミカクレモエビ相手に四苦八苦していたとき、ヒョコ…と顔を出してくれたのだ。
同一のソフトコーラルに暮らしていることからして、ひょっとして両者は同じ種類のオスとメス?
当時の図鑑ではやはりナガレモエビ属の1種とされていたものの、同じくナガレモエビ属の1種扱いだったアザミカクレモエビには学名(Hippolyte commensalis)が掲載されているのに対し、こちらは「sp.」扱いで、
H.commensalis との分類学的関係については、今後の詳細な研究成果を待ちたい
とあった。
となるとやっぱり、オスメスの違いってことになるのかな…
…と思いきや。
しっかり詳細な研究がなされ、その12年後に世に出た「サンゴ礁のエビハンドブック」のこのエビの稿では、学名(Alcyonohippolyte maculata)とウズラカクレモエビという和名が掲載されており、アザミカクレモエビともども、属名がカクレモエビ属に変わっていた。
研究が進んだ一方でこのエビたちの観察例もどんどん増えていて、私が初めて出会った今世紀最初の年には西表島で見つかっているのみだったものが、いまでは
日本では伊豆半島以南で観察されている
とある。
これほど見つけ難くヤヤコシイところにいるエビが、日本のあちこちで観察されている……
エビカニ変態社会帝国、恐るべし。
それはそうと、本来ナガレヨイチモエビの称号を得る立場にあったはずの彼も、ナガレヨイチモエビも、姿が観られたのはその年の夏まで、それ以後の地味地味ソフトコーラルは、再びもぬけの殻になってしまった。
当時に比べるとこのソフトコーラルが随分減ってしまったため、なかなか探す機会が無くなってしまった…と嘆いているうちに、クラシカルアイのせいで探す側の目の力が無くなってしまった。
最後にその姿を捉えたのは、アザミカクレモエビ同様2013年が最後となっている。
この頃はもうデジイチになっていたので、撮った写真をPC画面で大きくして観ることができ、それで初めて気がついたことに、このエビってなにげに触角(第2触角鞭状部)が長い。
ところで、このときもアザミカクレモエビとまったく同じ宿主で見られたのだけど、それでも両者は別種なんですね、やっぱり?
オスとメスってことはない??
< しつこい。