甲長 5mm
エビカニブーム到来とともに、海底に転がる死サンゴ石の下までがサーチ対象となってきた頃、世間の注目を浴びるようになったのがこのヤワクダヤドカリだ。
日中は暗がりにいるため、死サンゴ石の下などにも潜んでおり、同じようなところに住まうエビやカニを求めるダイバーによって発見が相次いだようだ。
繊細かつ小柄なフォルムと、藻がほとんど生えていない淡色系の貝殻との組み合わせがなかなかスタイリッシュで、騒がれていた当時はスター性抜群だったのだけど、実はなにげに数が多いということがバレてしまったからだろうか、いつの間にやら知る人ぞ知る的ヤドカリさんになっていった。
ホンヤドカリ科にはヤワクダヤドカリと似たような色形のヤドカリが何種類かいるようなのだけど、こういう色味をしていてなおかつ眼柄の眼のキワまで毛が生えていれば、ヤワクダヤドカリだと思って間違いないらしい。
石の下サーチが流行り始めた頃にはすでに石の下の環境保全協会員になっていた私なので、このヤドカリを自分で見つけたことも撮ったこともないのだけれど、撮影しただんなによると、ヤドカリとは思えない高速移動をするそうな。
石の下からお出まし願おうとしても、あまりに素早い動きであっという間に他の石の下に逃げ込まれるという。
↓ジッとしているこの様子からは想像もつかないけれど…
…きっと小柄軽量ゆえの利点を最大限に活かしているのだろう。
ところで、ホンヤドカリ科のヤドカリさんたちは右のハサミ脚が左より大きくなるのが特徴で、大きいだけではなくやけに長くなるものもいる。
このヤワクダヤドカリもその一員で、よく観ると右のハサミ脚の長さは異様なほどにアンバランスだ。
普段どのようにこの長いハサミ脚を利用しているのか不明ながら、高速移動の際には邪魔にならないのだろうか。
でまた長すぎるものだから、ハサミ脚のポジションが内股になるのが面白い。
こんな長大なハサミ脚を、いったいどのように有効活用させているのだろう?
これまで記録に残せている写真が2個体のみでは、答えが見つかるはずはなかった…。