体長 15mm
見た目どおりの実にわかりやすい名前だというのに、日本語には「邪」と書いてヨコシマと読む言葉もあるために、少しばかり損をしている気もするヨコシマエビ。
2cmにも満たない小さなエビで、図鑑的にはごくごくフツーにそこらで観られるようなことが書かれてあることが多いけれど、どういうわけか水納島ではそうそうお目にかかれない。
探し方の問題だろうか。
しかしエビカニガイドブック・久米島編では「見る機会は少ない」と述べられていることからしても、海域や環境によっていたりいなかったりということなのだろう。
もっとも、ウミシダで暮らしているとか、ナマコやヒトデを引っくり返せば観られるエビであれば探しようがあるものの、ではヨコシマエビはどこを探せばいいのか、というハッキリした目標がない。
棘皮動物の表皮をむしり取って食べているそうだけど、それはおそらく夜のことで、日中はひたすら石の下や岩の隙間に隠れ潜んでいるのだろう。
そんなヨコシマエビと水納島で初めて出会ったのはまだフィルムで写真を撮っていた頃のこと…というか、まだダイビングの仕事を始める前の94年のことで、ビーチエントリーでリーフの外に通うと必ず通ることになるリーフ内にて、ガンガゼとクロナマコのそばでジッとしていた。
のちにリーフの外で出会った冒頭の写真のものと色味が異なるのは、寄り添っていたガンガゼやクロナマコの色味に合わせているからだろうか。
冒頭の写真は、撮影しただんなによると、リーフ際の浅いところで引っくり返した石の下にいたそうな。
逃げも隠れもしない堂々としたお利口さんだったようで、石にチョコンと載ったままほぼジッとしていたという。
なので正面からも。
ずんぐりむっくりな体つきで肩肘張ったポーズはいささかいかつい感じもあるヨコシマエビながら、正面から観ると目の端にまつ毛があるような模様になっているから、ちょっぴりおすまし顔のお嬢さんのようで面白い。
このあたりの石をめくっていれば出会いの頻度は増すのかもしれないけれど、あいにく石を引っくり返すことに力を入れていないので、今に至るもヨコシマエビは私にとってレアなエビのままになっている。
レアといえば、さらに珍しいのがチビターレだ。
海水浴エリアの浅いところで、日中ナガウニが隠れているような隙間にいたチビターレ。
パッと見はまったく別のエビっぽく見えるので、一瞬新種ではと色めき立ったものの、ネット上で調べてみたところ、ヨコシマエビのチビであることは間違いないようだ。
オトナでさえレアなくらいだから、観たいと言われても「どうぞご自由にお探しください」というしかないのは言うまでもない。