(Periclimenes colemani)
体長 15mm
かつて隆盛を誇っていたダイビング雑誌をたまに手に取ってパラパラめくっていると、寒くても遠くてもいい、多少お金がかかってもいい、この生き物を是非見たい!と思ってしまうことがよくあった(3誌とも休刊になっちゃった今では、書店に行ってもパラパラできなくなってしまったけど…)。
そのひとつがこのコールマンシュリンプだ。
これは学名由来の通称で、和名はまだない。
雑誌をパラパラめくっていた時、イイジマフクロウニ系のウニで観られるというこのエビが、当時人気急上昇中だった柏島で見られるということを知ってしまった。
それ以来というもの、このエビを見る&撮るためだけに四国まで行ってもいいなぁ、なんて遠い目をしてつぶやく日々を送っていた。
ところが。
水納島にもいたのだ、これが。
あるうららかな春の日、暇なので遊びで潜っていたときのこと。
砂地のポイントでやや深場から浅場へ向かう途中、だんなが10cmほどの丸い物体の前でジーッとしているのが見えた。
5%くらいの確信と95%くらいの希望が合わさった「これはもしや!?」状態でビューッと近づいてみると、丸い物体とはイイジマフクロウニ似のウニだった。
イイジマフクロウニ似のウニとなれば……コールマン??
これまでもこのウニを発見するたびにこのエビがついてはいまいかと探してきたけれど、このエビはもちろん他の何かもついていた試しはなかった。
にもかかわらず、だんながジーッとそのウニに向かって這いつくばっている。
もはや確信は95%まで急上昇し、さらに近づいてのぞき込んでみると、そこにはまさに……
コールマンシュリンプが!!
アドレナリンが体中に充満し、あやうく心臓がおぼれ死ぬところだった。
ああ、潜る前にフィルムを交換しておいて良かったぁ……。
それにしても、たかだか10cm程度のフクロウニの仲間に乗っているものだから、エビ自体がやけに目立ってしまっている(PCでご覧の場合、↓写真をクリックすると画像が大きくなります)。
しかもペアがいるところだけウニの棘が無くなって、カンパチ(ハゲ)になっている。
これはこのエビがやったのだろうか。
だとしたらウニにとっては大迷惑だなぁ。写真は撮りやすいけど……。
なんてことを考えながら、幸せなひとときを過ごした。そして近年まれにみる大満足状態で戻り、その晩祝杯をあげたのはいうまでもない。
その後もこのウニが周辺をウロウロしてくれれば、いつでも会えるかも…と期待していたのだけれど、以後このウニはプッツリと消息を絶ってしまい、もちろんながらこのエビとの再会は果たせていない。
……
あれから四半世紀が過ぎた今に至るも、コールマンシュリンプとの出会いは後にも先にもこの時かぎり。
あの日あの時の出会いは、人生一度きり級の一期一会だったのだろう。