「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 3月10日(水) 曇り

北西の風  大荒れ  

 あんだけ雪まみれの大荒れになっている本土の方々からすれば、沖縄にいる人間が何を言っているんだと言われそうだけど………

 …今日はホントに寒かった。
 昼になっても、暖房を効かせていても、いっこうに暖かくならない室内。着ているものは、手持ちの中では最高水準の防寒装備だというのに、それでもなお寒い。

 なんか、このオフ一番の寒さなんじゃない??

 そう言っていると、案の定だった。
 昼の天気予報によれば、この日の那覇の最低気温は9度ちょい!

 那覇で9度っていったらあなた、水納島での体感温度は5度前後ですぜ。
 たしか、4、5日前までは夏のような暑さに閉口していたというのに、なんなのだこの激変ぶりは。
 というか、先月ブラブラ歩いていた道頓堀近辺の夜よりも、3月の沖縄のほうが寒いってのはどういうわけよ。

 まぁ、今さらお天気で何がどうなろうと驚かないけどさ、春休みや卒業旅行で今沖縄にいる人たちは、相当行いが悪い人たちだったんだろうなぁ………。

 そんな極寒のこの日、3時のティータイムのあと、いつものようにアネックスのパソコンで遊ぶべくトコトコ出掛けていったうちの奥さんが、ものの数分で戻ってきた。
 アネックスの手前で、なにやら気になる生き物を見つけたのでカメラをとりにきたという。
 それがナントカカメムシとかナンチェロアシナガバチとかだったら歯牙にもかけないところだ。ところが今回は僕の食指もピピピと動く生き物だったので、一緒にカメラを持って現場へ。

 その生き物とは…………これだ!

 ご存知ヤツガシラ!!<ご存知??
 毎年なのか気まぐれなのか、冬になると極たまに水納島でも目にすることができる迷鳥だ。
 野鳥観察報告大好きな宮古からは、毎冬必ず写真つきでこのヤツガシラのニュースが伝えられるほどに、それなりに珍しい鳥である。

 これまでにも何度か目にしたことはあったものの、ジョギング中だったりしたため、撮影はおろかカメラを向けたことさえなかった。
 ヘッポコ写真ながらこうして記録に残せたのは初めてだ。

 その他アネックス周辺には、今ジョウビタキがよく遊びに来ている。ひところはツバメが巣を作っていたし、先年は雑貨屋さん店内からガラス戸越し2mの近さでアカショウビンを観たこともある。
 アネックスって、なにげに野鳥パラダイスだったのか……。

 Ducky隊長、鳥用バズーカレンズをお持ちになるなら、この季節がいいですよ(笑)。

 話は変わる。
 昨年、こんなヘンテコなヨウジウオの仲間を見つけた、という話をご記憶だろうか。

上下とも撮影:かねやまんさん

 これ、尻尾の部分ね。
 ヨウジウオの尻尾にこんな皮弁がついている種類なんて知らなかったので、そのときたまたまそばにいた……というのはウソ、ちゃんとしたカメラを持っている人に出会うまでずっと手にしながら移動しているとかねやまんさんに出会ったので、是非撮ってくれとお願いして撮っていただいたのが上の写真。
 でも彼は、人と同じ写真を撮りたがらない個性派なので、尻尾しか撮ってくれなかったのだった………。

 その後も依然このヨウジウオの正体はわからないまま。
 ところが、先日
大方洋二さんのブログを見ていたら、なんとなんと、彼も今年このヨウジウオ(と同じと思われるもの)を奄美大島で発見されていた。

 しかも、僕はまったく気づかなかったけど、首(?)のあたりにもかっこいい皮弁が一対ついているではないか。
 ほらぁ、かねやまんさん、全体を撮っていたら新たな発見があったかもしれないでしょー(笑)。

 といいつつ、大方さんが発見されたのはブログによると3センチほどだそうで、かねやまんさんに撮っていただいた個体は15センチほどはあったから、ひょっとすると首の皮弁は大人と子供の違いかもしれない。

 いずれにしてもこれがもし未記載種なら、ご本人も望んでおられるとおり是非オオカタヨウジという名にしてもらうべく、積極的に標本採集に協力しようっと。

 追記
 このヨウジウオの正体が判明した。
 忙しげに仕事をしているようで実はヒマなタコ主任が、貴重な情報をもたらしてくれた。
国立科学博物館の魚類写真データベースに似たような写真が載っているという。
 それによると……

 あのヨウジウオは、なんとワカヨウジの未成魚だった!!
 (上記サイトにて「ワカヨウジ」で検索してみてください)

 そういえば、ワカヨウジはこれまで成魚しか見たことがなかった。若魚のころは、あんなふうに尻尾のあたりがモジャモジャしてるのね……。

 これで新種「クワネドタカヨウジ」の線はなくなってしまった……。
 というか、知っている方は最初からご存知だったろうから、コイツ何言ってんだ?的に見られてたのかなぁ。なんだかクヤシイ。
 ちなみに、大方さんがブログで紹介されていた幼魚(?)が同種かどうかは、僕にはわからない。