「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 3月13日(土) 晴れ

南東の風 おだやか 水温21度

 今日もいいお天気。しかもべた凪ぎ。
 再び海へ。

 今日もまた、探してもいないのにこんな小さなウミウシが歩いているのを見つけた。

 左側の肌色は、対人比で毎度お馴染みの僕の人差し指ね。
 こんな小さなの、よく見つけられますね、と慣れない方はおっしゃるのだけれど、別々に行動していたうちの奥さんもどうやらこれを観たそうだから、小さいとはいえ砂地だと案外目立つのだろう。

 だから、5mほど先にいるこんなウミウシ(全長2センチ)にも気づける。

 昨日もご紹介したムカデミノウミウシ。
 体が途中から千切られていたけど、彼らにとって体の後半というのは、足底腱膜なみに無くても困らないものらしい。

 千切れていて格好悪かったので、顔に注目してみた。
 X字型で面白い。
 ただし、正面から撮ろうとすると、彼は即座に身をくねらす。これはたいていのウミウシでもそうなる。
 ウミウシによっては、その顔(?)に眼の役割をする機関(実際眼のように見える)があるものもいて、彼らはそれで前方の障害物を光学的に察知しているのだろう。
 けれどこのムカデ君、いったい触角だけでどうやって前方の障害物…つまり僕のカメラを察知しているのだろうか。

 不思議に思い、撮った写真を後刻つぶさに観てみると……
 彼にもあった。


上の写真の一部拡大。
わかりやすくするため、ちょっとコントラストを強めにしてあります。

 この黒点、ひょっとして眼じゃね??
 たまたまこの写真を撮るときについたゴミなのかと思って他の写真や、以前に撮ったムカデ君の写真を見てみると、どの写真にもちゃ〜んと目がついてる!!

 残念ながら真正面から観るとこの黒点は見えないものの、これを眼と思ってもう一度彼の顔(?)を観てみると、その表情がガラリと変わり、いっきにひとつのキャラクターに進化してしまった。
 みなさん、お手元にムカデミノウミウシの顔のアップ(真正面はダメ)があったら、是非ご確認ください。

 その後ムレハタタテダイが群れ集う根に行ってみると、この時期にしては珍しくスカテンが少々群れていた。
 ほんの少し夏っぽい。
 でも、水温21度で眺めるスカテンってのは、やたらと寒々しい……。

 その根にこの子がいた。

 キスジカンテンウミウシ。
 一度エラが引っ込んでしまうと、全開状態になるまでにやたらと時間がかかるので、ヤラセをするのが難しいウミウシ。あ、この写真はヤラセじゃないですよ!!<普段悪いことばっかりやってるから信用されなくなる。

 昨日からたてつづけに紹介しているウミウシたちは、特に春ならではというウミウシではない(ムカデ君は、梅雨時に大量発生したことがあったけど)。
 でも真冬の間は出会う機会が少なかったことを思うと、やっぱり春以降にみんな活動的になるのかなぁ。
 水温的には海中は1月末から4月初頭にかけてが一年で最も低い時期だから、陸上のように陽気に誘われて…ってことはないはず。
 だとすると、彼らは何をもって「この季節」を知るのだろう。
 ひょっとして、眼点から感じとる日中時間??