「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 6月16日(水) 雨

南の風 波あり 

 どうやら梅雨明けも間近な沖縄。
 それを狙いすましていたかのように……って、狙い済ましていたんだろうけど、この先はゲストのご予約がたて続く。いよいよクロワッサンもダイビングサービスぽくなってくる。

 つまり、カメラを抱えて潜れる機会がグ〜ンと減る(涙)。

 カメラを持って入っていたからこそ、先日のジャパピグだって写真記録として残せるのであって、あれをガイド中に発見していたら、津波が起こるくらいに地団太踏んでいたことだろう。

 有名なガイドの中には、ゲストに何かを見せることこそがヨロコビ、などと言ってのける方もいらっしゃるようだけど、冗談ではない。
 それがどんなに貴重な出会いかもわからないまま、テキトーに撮った超ピンボケの写真を後刻見せられて、いったい何がヨロコビだというのか。<ココだけの話ね。

 これからしばらくはそういうケースが増えていくわけなのだが、まぁそれは最初からわかっていることなので仕方がない。
 それを見越して、遊びで潜れるうちに梅雨どきならではの子たちをセッセと撮っていたのだった。

 …それもまた、他の方々がご覧になったらいったい何がヨロコビだというのか、というモノでしかないんですけどね。

 梅雨どきならではといえば、数々の幼魚たち。
 もちろん夏にだって出会えるものもいるけれど、繁殖シーズンが始まったばかりのこの頃は、超チビが多いのだ。
 特にスズメダイの幼魚たちは、大人からは想像もできない可憐さを見せるものが多く、ついついカメラを向けてしまう。

 どれくらい超チビかというと、たとえばこの魚。

 ヒレナガスズメダイの幼魚が、大人とはまったく異なる体色だという話は有名だ。しかしヒレナガスズメダイの幼魚と多くの方に認識されるようになるのは、これがもう少し成長してその名のとおり背びれ尻びれの後端が長くなってから。
 こんなに小さいうちは、まるで別の魚のようなフォルムなのだ。

 また、この魚も超チビの頃は随分違う。

 クロスズメダイの幼魚もまた、大人になると似ても似つかぬ姿形になることは有名だ。ところが超チビの頃ともなると、有名な幼魚の形とも異なり、手がかりはただただその配色だけとなる。

 このほかにも魅惑的なスズメダイの幼魚たちは数多いのだけれど、そんな数あるスズメダイ幼魚のなかで、他に抜きん出て僕が最も美しいと思うのはこの魚。

 ご存知マルスズメダイのチビターレ。
 どーです、この優しげな面差し、洗練されたそのフォルム。

 とりたてて印象的なカラーリングではないものの、本当にスズメダイなの?と思わず目を疑うその尾びれの美しさ。
 この尾びれは、成長とともに相対的に短くなってしまい、大人になるとフツーになってしまう。
 このカッコイイ姿を見られるのは、チビターレの間だけなのだ。

 …というわけで、カメラを抱えて海に入れる間はそれなりに堪能させていただいたのでした。
 どれもこれも、ノンダイバーの方を海へと誘うような写真じゃなくてすみません……。