「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 8月9日(月) 晴れたり雨降ったり

南の風 波あり 水温29度

 物理的被害をまったく出さないまま、台風4号は足早に沖縄近海を駆け抜けていった。

 今年早々に予想したように、やはり今後は沖縄近海で台風発生、という事態が増えるのだろう。

 南の海上で発生した台風が徐々に迫ってくる場合は、それ相応に覚悟と準備ができるのはいいものの、近づいてくる間に巨大に成長し、手のつけられない暴れん坊将軍台風になってしまう。

 それにひきかえ近海で発生する台風は、寝耳に水状態でアタフタすることになるとはいえ、台風自体の勢力がショボイので(今回も、暴風域を伴うようになるのは九州北部に達したあたり)、安心して台風休みを過ごせる。

 ただし、ゲストがいなければ。

 暴風域を伴いそうな台風が迫ってくる場合は、余程のことがないかぎり、各民宿は宿泊客に島外への避難を促す。
 しかし今回はショボショボ駆け足なのがわかっていたため、日程的に余裕がある方はすべて島内に留まった。

 まったく、往生際が悪い………あ、いや、ここだけの話ね。

 1日中やることなく過ごされたゲストは、夜になると断然元気になるという法則のまま、この台風休み中も当然のようにゆんたくタイムは継続。
 なんの売り上げもないまま、ただ酒だけ飲み続ける日々のなんと虚しいことよ………。

 という惨状を見るに見かねてくださったのか、この日午後は雨の勢いも峠をはるかに越えきったこともあって、多くの方がコスゲさんにつられるようにしてビーチにエントリー。
 コスゲさんのスライドショーを見て、ビーチも面白いとお気づきになられたに違いない。

 その準備のために桟橋まで来て、皆さんがエントリーされているのを見ているうちに、なんだか気持ちよさそうに見えてきた。
 自分もタンクを背負って潜ることにした。

 3年前だったか、台風通過中だったお盆時期に、今日と同じようにゲストの方々と一緒にビーチに潜ったことがある。
 その際、普段水納丸が泊まっている側の桟橋脇の藻場で、他所では見られない何かの幼魚を見つけた。
 形はタマンに似ている。
 フエフキダイ系の何かであることは間違いなさそうで、やたらと数多いところをみると、恒常的にそこにいるようだ。

 残念ながらその時はワイドレンズを手にしていたこともあって、カメラを向けることなく姿を拝むだけで終わった。
 そのため、ずっと正体わからず。

 以来ずーっと気になっていたその幼魚の正体を確かめるべく、桟橋の西側へと行くみなさんに背を向け、一人白濁した東側にエントリー。
 すると……

 真っ白。
 うーん、こんなんで見つけられるのだろうか。

 …と思っていたら、すぐさま見つかった。やはり毎年いつも同じ場所にいるようだ。

 そのナゾの幼魚とはこれだ。

 図鑑で調べてみたところ、どうやらイトフエフキという魚の幼魚らしい。
 六畳ほどの藻場に隠れ潜むようにして、わりと多数の幼魚が泳いでいた。
 3年来のナゾがついに判明。
 これも台風のおかげである。

 こうして本日の使命を果たし終えた後、桟橋の西側で遊ぶべく桟橋をグルリと回って移動していたそのとき、メチャクチャ面白いアトラクションをナマで目撃してしまった。
 私蔵するに忍びないこのエピソード、もちろんこの場で紹介したいところなのだが、ああなんということだ、紙数が尽きてしまった。

 気になる方は、この日滞在されていたゲストのみなさんに直接お聞きください。おそらくその話には、鯨のテールよりも立派な尾ひれがついていることでしょう………。