「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 8月23日(月) 晴れ

東の風 おだやかのちやや波あり 水温29度

 毎年一度は、島のキッズを海に連れて行こうと思っているのだけれど、残念ながら昨年は果たせなかった。
 うちがどれだけ暇でも、彼らの都合がつかないからである。

 夏休み中なのだから、毎日いつでも都合がいいはずだろうと思うのは甘い。島の小中学生たちは毎日忙しいのだ。
 なので今年は、早めに当方の空いている日々を伝え、みんなの都合がいい日を選べといってあった。

 その「都合がいい日」が先日の日曜日。 

 さて、そんな島のキッズたちのうち、リョウ、アカネ、アスカの三人は、過去にも連れて行ったことがあって、3人ともジャケットをつけずに素潜りして遊ぶことができる。
 問題は、ユウキ&リキだった。
 なにしろ二人とも、リーフの外に出たことはおろか、マスクとスノーケルを使ったことがないというのである。

 5年生と4年生だというのに、島に住んでいるというのに、これまでマスクを使う機会がなかった??

 ちなみに、彼ら小中学生がなぜ夏休みなのに都合がつかない日が多いのかというと、ほかでもない、週に3日くらいの割合で学校に行かなければならないからだ。
 朝6時半からのラジオ体操、10時くらいから「補習」やグランド整備、ビーチ清掃などなど、そして日によっては午後4時過ぎからまた学校に行かなければならないこともあるという。

 夏休みだというのに毎日のように学校に行かなきゃならないというだけで、僕などすぐにでも発狂してしまいそうだ。
 でもまぁ、大人たちは働いているシーズン中の小さな島のこと、学校に行かないとなると何もやらずにダラダラとなる、ということを考慮してのことなのだろう。

 それは百歩譲るとしよう。
 それならそれで、なんでべた凪ぎ快晴の日に海に連れて行ってやらないのだ??
 そんな日に教室の中で「補習」をしていて、いったい何が「地域の特性を生かした教育」だというのだろうか。

 そこには安全上の問題やらなにやら、リスクを冒したがらない公務員のしがらみがあるのかもしれない。
 でも僕は、沖縄で体験ダイビングをする予定の修学旅行の説明会で、保護者からの不安や危惧を、自らCカード講習を受けてダイビングが安全であることを証明し、不安がる保護者たちを納得させた(本当はガラの悪い)先生を知っている。

 ようは「やる気」の問題なのだ。

 さて、そんな次第でマスクとスノーケルを使ったことがないユウキ&リキだったのだが、そこはやっぱり子供のこと、あっという間に順応(最初はかなりてこずったけど…)。

 そして………

 水納小中学校全児童生徒による「輪」完成。
 脚を伸ばしたほうが美しい、というのを忘れた…。

 ユウキもリキは、さすがにまだジャケットを取って泳ぐのは無理にしろ、最初はマスクに水が入るのなんだのとうるさかったのが、最終的には余裕でピースサインを送れるようになった。

 もちろん、サザエくらいなら獲れるリョウは、フィンなしでも普通にこれくらいは余裕綽々。

 そして。
 あの、リーフの上のサンゴたちの白化が起こった98年、ほぼ完全に壊滅してしまった10月に生まれた彼女たち。


                
アスカ


アカネ●●●●●●●●●●●●●●

 あれから12年経って、目覚しい復活を遂げたリーフのサンゴたち同様、彼女たちもまたスクスクと成長しているのであった。

 こんだけ泳げるのに海に行けないなんて、何か間違っている!!

 大人がついていないときに海で遊んではいけません、と言われている彼ら。でも、死なないように遊ぶ術を子供の頃に身につけておかないと、大人になってから遊べないぞ。

 子供たちよ、これからももっともっと海で遊べ。

 ところで。
 9月上旬までゲストが途切れないという状況のなかで、なにゆえこんな遊びができたのかというと、ほかでもない、こういう状況を甘受してくださるゲストがいらっしゃったからである。

 かねやまんとキッズたち。
 おお、なんとシュールな写真なんだ…………。

 かねやまんさん、せっかくのおくつろぎのところ、お騒がせして申し訳ございませんでした!