「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

番外編
〜蝶々日記・2〜
2010年 12月20日(月) 晴れのち雨

南東の風 おだやか 

 今日も昼過ぎまでは天気が良かった。
 潜りに行くとか出かけるとか、特に用がない日は、雨が降っていない限り毎朝ウォーキングすることにしている。
 沖縄風に言うと「歩け歩け」をしているわけだ。

 コースは決まっていて、家からかもめ岩の浜に出て、そのまま海岸を灯台方向へ。
 それから灯台の麓に登れる道(機関長たちが夜出漁するための通り道)を通り、うちの奥さんの畑を過ぎて十字路へ。
 そして家に戻ると、だいたい35分になる。

 歩き始める前にストレッチ&なんちゃって筋トレをしているので、都合小一時間ほどの運動になるのだった。
 夕方にはちょこっとジョギングするので、トータルするとシーズン中より体を動かしている日のほうが多かったりする。

 鍛えているわけではけっしてない。
 ただただ、現状維持のため。
 若い頃なら、こんなことをせっかくのオフの間にいちいちしなくても平気の平左だったのだが(用語が古過ぎるか??)、やはり35を過ぎてからは体力の現状維持のために、強力な意思の力を必要とするようになってしまった。
 四十を過ぎてからは、1日のサボリが1週間のロスに。
 ああ、ただ本を読むだけで過ごしていられたあの頃が懐かしい……。

 とはいえ、そうやって島の中を毎日歩いたり走ったりしていると、家の中でゴロゴロしているだけではけっして気づけないものに出会える。
 今日歩いていたときに目にしたのは、オオゴマダラだ。
 その羽の面積が日本最大のチョウチョウで、そのサナギが黄金色をしていることでも知られている。

 オオゴマダラ自体は普通に島内で見かけるものの、いつも優雅に泰然と高いところを飛び回っているので、撮りやすいところでくつろいでいる、という状況はなかなかない。

 そんなオオゴマダラが目線よりも低い位置でくつろいでいる。

 それをウォーキング中に観ていた僕は、昼食後、カメラを抱えて再び同じ場所へ行ってみた。そういう場合、えてしてすでにいなくなっていたりするものだが……

 …いた。
 それもこんな感じで!

 この手のチョウチョウたちは、一匹が止まっているところに他の一匹がやってきて、すぐ近くでパタパタと羽を動かしながらホバリングするのがよく見られる。
 求愛行動なのだろうか?
 リュウキュウアサギマダラではしょっちゅう観ているのだけど、オオゴマダラバージョンを観るのは初めてだ。

 しばらくすると2匹が同じ場所に止まった。
 リュウキュウアサギマダラだと、うかつに近寄るとすぐ逃げてしまうというのに、オオゴマダラともなると幼虫の頃に蓄積したアルカロイドに頼る以前に、大きくて普段何かに襲われるということがないのだろうか、逃げる素振りをまったく見せない。

 どう観てもカップルだよなぁ……。

 このオオゴマダラは、その幼虫の期間に食す草の種類が決まっていて、ホウライカガミとホウライイケマという植物を食草としている。
 いわゆる雑草なので、宅地化が進んだ地域では失われていく傾向にある。
 ところが水納島のように、放っておけば道路がふさがれてしまうほどの雑草天国になると、オオゴマダラたちも困ることはないようだ。

 …といいつつ、本当に島内で繁殖しているのだろうか。
 リュウキュウアサギマダラのサナギは観たことがあるけど、オオゴマダラのサナギは島で観たことがない。
 なんとなく、本島からヒラヒラパッパと飛んできているような気がしなくもないし……。

 はたして真実はいかに?