「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2011年 2月3日(木) 曇り

北の風 おだやか 水温21度

 今日は旧正月。
 渡久地港のウミンチュたちは、船に大漁旗を掲げてお正月を祝っていることだろう。

 大漁旗は掲げないものの、我々も海に行くついでに船のデッキを洗ってあげた。
 渡久地港で係留する際、海に浸かったままのロープを船に上げると、デッキに泥が流れてしまう。
 また、そのまま船を停めておくと、港で暮らす鳥さんたちが格好の休憩所として利用するので、デッキの上がフンだらけになってしまうのだ。

 というわけで、2月になってようやく潜り初め。
 何に驚いたって、やっぱ海って………

 ………大きく広い。

 いや、当たり前なんだけど、これだけ冷え込みが続いた今年の冬である。水温も例年よりは1度くらいは下回るんじゃないかと覚悟していたのだ。
 ところがどんなに陸が寒かろうとも、水温はあくまでも21度と例年どおり。

 海ってでけぇ………。

 ちなみにこれが溜め水ともなると、冷え込んだ日にたった一晩外に置いておくだけで、流れ出る水道水がお湯に思えるほど、容器の中の水はキンキンに冷えてしまう。
 大容量の水が、熱しやすく冷めにくいという、ある程度一定の環境をもたらしてくれるのだ。
 そんな海水の平均水温が1度上がった……なんて話が世界のどこかでもしあったら、それはとてつもない環境の変化だということをキチンと認識しなければならないのである。

 さて、そんなわけで、ドボンとエントリーしても気絶するほどの寒さではなかった。
 むしろ風に当たっている船上にいるよりも温かい。
 そんな海中で、今年最初のモデルさんは……

 モンツキハギィ〜〜
 昨年のハラスジベラのメスほどではないにしろ、これまた特に意味もなく地味。
 目の前を横切っていったというだけの動機でしかない。

 寒さのあまり絶滅してしまったんじゃないかと危惧していたテングカワハギたちも、リーフの上で元気に暮らしていた。

 今大人のペアがいれば、夏になればまたチビたちが随所で観られることだろう。

 チビといえば、昨シーズン途中から加わっていたセジロクマノミ4匹目も、健気に元気に頑張っていた。

 長い間薄い薄い色をしていた彼も、ようやくセジロクマノミらしい色になっている。
 でもクマノミ業界は弱者が虐げられる世界なので、他の大きな3匹にいじめられ、イソギンチャクの外でこの寒い冬をすごす羽目になっていたら、早々に他の魚に食べられてしまっているんじゃないかと心配していたのだ。

 まったく大丈夫そうだ。

 このイソギンチャク内の女帝様も………

 のどかにアクビをしていた。
 彼女たちもまた、春が待ち遠しいのだろう……。