「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2011年 4月26日(火) 午前中から雨

南東の風 波あり 水温21度

 前日の超べた凪ぎのお天気で
 「春ですョ。」
 なんて書いていたら、手の平を返したように午前中から雨。

 天気予報では夕方からって話だったんだけど。

 まぁこれも「春」です

 ある意味春らしいそんな天気の下、本日はワタシがイカママさんをご案内。
 こんな寒い海の季節に潜る彼女の目的は、ウミウシ。

 なので、年に2、3回しかしないであろう「目を皿のようにするウミウシ捜索」をしてみたら、いるわいるわ、小指の爪よりも小さなウミウシたちがそこかしこからこんにちは。

 残念ながらガイド中はちゃんと撮れるカメラを持って入っていないので、これまで撮ったことがないウミウシを見つけても「撮れない」というジレンマがあるから、なるべくならこれまで撮ったことがないウミウシを見つけたくはないんだけど、やっぱりそういうときに限っているんだよなぁ……。

 それとは関係なく。
 このところ成長を追っているタキベラ・チビターレ、大してサイズは変わらないなぁと思っていたものの、ひと月ほどの間の差を改めてみて見てみると、それなりに成長の跡がうかがえた。


3月19日撮影


4月24日撮影

 同じ場所に2匹も3匹もいる魚じゃないので、この子が同一個体というのは間違いない。
 サイズ的にはパッと見大きな差はなさそうに見えていたんだけど、尾びれの付け根あたりとか尻ビレの黒斑を観ると、それなりに成長しているらしいことがわかる。

 ひと月の間何事もなく同じ場所でいき続けているのだから、こんな小さな魚でも、やはり野生は逞しい。

 逞しいといえば。
 魚の場合、どんなに大きな怪我を負っていようと健気に生きている姿をよく目にする。
 なかには体の一部が何かに食われて無くなっていてさえ、他の魚たちと一緒に群れていることもあるほどだ。
 そういうのを観ると、魚には痛覚がないというまことしやかな話も信じてしまいそうになる。

 大怪我でさえなんてことなさそうに泳ぎ続ける彼らだから、ちょっとした変化程度だったらものともしない。

 今の時期、恋の季節を迎えているイナセギンポもそうだった。
 この時期は自分を強くかっこよく見せようとするオスたちの姿がよく見られるんだけど、この子は一風変わった髪形(?)をしていた。


「シャークOK」って言ってそう……

 本来一枚であるはずの背ビレが、ケンカしたせいなのか途中の鰭膜がきれてしまっていて、前部分だけが独立して見える。

 このような他と異なる形状ってのは、なにかにつけてハンディになるのかなと思いきや、恋の季節まっさかりの彼の様子を観ていると、どうやらこの子はちょっと……

 ……得意気?

 その様子はなんだか、愛車のルーフアンテナをお気に入りのサメ型にチェンジできて喜んでいる、古刹・浄念寺副住職のお姿のようにも見えるのだった。<この話が「?」の方はこちらをご参照ください。