「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2011年 5月17日(火) 雨のち曇り

東の風 やや波あり 水温22度

 昨夜来の嵐は朝になってようやく納まったものの、雨は降り続く。
 夜の嵐といい、この寒い雨といい、梅雨というよりはなんだか春先のような気配だ。

 夏が春からバトンを受け取る前に、一足先にリレーゾーンを離れてしまったのかもしれない。

 しかしそんな悪天候にもかかわらず、この日ゲストが。
 それも、本部町在住者!

 こんな雨の日にもかかわらず、その熱意。他のゲストの方々に爪の垢を煎じて飲ませてあげたい。<その熱意を削いでいるのはいったい誰だ??

 お一人だったのでガイドはうちの奥さんにまかせ、僕はカメラを持って遊んでいた。

 すると、ヒオドシユビウミウシ発見。
 普段はリーフ際で見かけることが多いのに、どういうわけか砂地にポツンと転がっている握り拳大の石にいた。

 どうやら、その石に生えているガヤ(?)を食べているらしい。

 よく観ると、ウミウシの周りにワレカラたちが。
 ワレカラというのはエヴァンゲリオンにも似た体形のカマキリのような節足動物で、このようななんの変哲もない小石に生えるガヤに集団で暮らしている。

 ガヤは彼らのおうちなのだ。
 そこで子を産み、育てている。

 そんな平和なワレカラ村に、突如襲来した怪獣アングイラ。
 村はパニックに見舞われていたに違いない。
 ウミウシの鼻先にいるワレカラ君は、まるで体を張ってそれ以上の侵入を阻止しようとしているようにさえ見える。


アップ。

 頑張れワレカラ!
 ワレカラ村の明日の自由は、君たちの肩にかかっている。


がんばるワレカラ君

 そうそう、甲殻類といえば。
 去るGW中、ごく一部でこのような生き物がブームになっていた。

 ピコピコ虫ことヒメオオメアミ(と、当サイトで同定している)。
 この生き物のモビルアーマー的機能については
かつて触れたけど、実はこの生き物は、上の写真のような色のほか、「かつて」のリンク先の黄色とか、黒色、オレンジ色など、カラーバリエーションがいろいろある。

 それらはほぼ単色だ。
 ところがこの日、なんとツートンカラーのピコピコ虫を見つけた。

 さっそく激写。

 あれ?
 これって、2色なんじゃなくて、何か付いてる??

 別角度。

 !?ッ
 これはいったい……………

 …何!?

 卵でしょうか?
 寄生虫なんでしょうか??

 あらためて「かつて」のリンク先の写真を観てみると、黄色い子の背中にも、同じように付いているような気が……。

 いずれにしても、老いた目にはゴミのようにしか見えない、1ミリほどの生き物の世界の話。
 たしかに言えることがひとつ。

 僕らはみんな、生きている。