「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

番外編
陸亀日記

2011年 6月10日(金) 晴れ

南の風 夏至南風 

 暑い。
 梅雨が明けたのだから当然ながら、普通そういう日には海に行くから、海に行けば多少は……いや、かなりのクールダウンになる。

 が、ここ数日は、抜群のお天気なのに海に行けない事情が……。

 毎日が日曜みたいなものなので、連日日曜大工をしていたのだ。
 でその結果、雑貨屋さんの庭の景観が、ちょっと変わった。

 どう変わったのかわかりますか?
 先だっての台風で、パッションフルーツの棚が吹っ飛んだことは触れた。その後このような感じに。

 違いに気がついた方が抱くであろう当然の疑問といえば、

 「ところで、手前の柵は何?」

 何を隠そう、この3日間というもの、ずーっとこれを作っていた。
 風はあるものの日陰がまったくない日中、こんなところで作業を続けていたら、秒殺で干物になってしまう。
 だから本当は、西日になってからの夕刻を使って……と思っていたのだけれど、連日の猛暑や急なご予約などいろいろあって、のんびり構えていられなくなってしまった。

 というわけで、熱射病で倒れそうになりながら、作業を急ピッチで進め、この日ついにある程度の完成を見た。

 こんな感じ。

 小さな島のことである。
 通りかかる島の人々がみな、どれ見てみよう、はい……と言いながら見物にやってくる。
 で、目にした人が口を揃えて

 「アイッ!!」

 ビックリする。
 夕刻も、クロを散歩中のナリコさんが、一足先に見たヤスシさんからウワサを聞き、さっそく立ち寄ってこられた。

 ナリコさんもクロも、いったい何に注目しているのか。
 島の人たちは、何を見て驚いていたのか。
 その答えは…………

 これだ!!


サンシャイン国際水族館勤務時代からの
うちの奥さんの得意技「対人比」。

 でかッ!!

 ご存知、ケヅメリクガメ。
 すでに15年も飼育されている子だ。

 そしてこのケヅメリクガメこそが、先日我々が泊港で出迎えた、フェリーざまみの「貨物」だったのである。

 うみまーるの二人を介して、座間味在の方のところへ、うちで産まれたホシガメが2匹ほど里子に行っていた。
 飼いきれなくなって持て余したら、返品(?)OKですよ、という話もしてあった。

 で、その座間味在の方が、お仕事等の関係で島に不在になる時間が多くなってきて、だんだんペットの世話がおぼつかなくなってきた。

 人に世話を頼みながら飼い続けるよりは、いっそのこと、実家に引き取ってもらおう。そのほうがカメたちにとってもシアワセだろう。

 そう考えたその方は、従来カメ好きの方で、うちからの里子が来る前からすでに何匹か陸ガメを飼っておられた。
 そこで、もしよろしければ、その他のカメたちともども引き取ってもらえないだろうか……

 という話が、某海洋写真家を通して我々にもたらされたのが先週末のことだった。

 先週末、つまり今月上旬といえば、まだ台風2号の爪あとが痛々しく残っていた頃のことだ。
 パッションフルーツの棚が吹っ飛んでしまい、鈴なりのはずだった未熟の実が、結局獲らぬタヌキの皮算用だったことを哀しみつつ、パーゴラの後片付けを終えた雑貨屋さんの庭。
 広々となったものの、唯一の「色気」といっていいパーゴラという飾りが無くなって、なんだか殺風景になってしまっていた。

 だからといって、同じものを作り直すのも馬鹿らしいしなぁ……。
 どうしよう?

 そんなときに、降って湧いたかのようなこのカメ話が出来。

 梅雨が明けそうである。
 もうシーズン中である。
 そもそも大変である。

 いろいろなマイナス要素を数え上げるとキリが無いものの。

 面白そうじゃんッ!!

 ただそれだけの理由で、この巨大ケヅメリクガメをはじめとする、合計6匹のカメさんを引き取ることにしたのだった。<バカ。

 7日夕方5時に泊港でカメを車に積み、8日朝に島に戻ってきて、そして10日夕刻には、巨大ケヅメリクガメ用飼育スペース完成。

 仕事の速さに我ながらホレボレする………。

 ちなみにこの飼育スペース、その材料のほとんどは、パッションフルーツの棚だったものを流用している。
 台風で吹き飛ばされてしまったものの、その材料で新たに雑貨屋さん用客寄せパンダのためのおうちを作れたのだから、タダでは転ばないとはこのことだ。

 といいつつ、破壊力抜群のパワーを誇るこのケヅメリクガメ君に、この柵が耐え切れるかどうか、やや自信がない………。

 あ、そうそう、この巨大ケヅメリクガメ君、旧飼い主の下での名前を聞きそびれたので、勝手に命名しました。

 名づけて

 GAMERA105号。

 ガメラはともかく、なんで105号なのかというと、旧飼い主が、座間味の有名ストア、105ストアのオーナーさんだから。

 というわけで、GAMERA105号君が雑貨屋さんで皆様をお待ちしております。<いやはや、ホントにインパクト大。

 客寄せパンダといいつつ、「爬虫類が大嫌い」という方を大いに引かせてしまうクリーチャーであることは間違いない。客寄せならぬ、客引きパンダ??<それじゃまた意味が違うでしょう。