「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2011年 9月30日(金) 晴れ

北東の風 おだやか 水温27度

 ご滞在中毎夕、修行と称してビーチを潜り続けていたかねやまんさんは、一部変態社会においてそれなりに珍重されているエビをいくつか発見された。

 そのひとつが、フィコカリス・シムランスという、いまだ和名がついていないエビちゃんだ。
 パッと見、まったく冴えない色合いながら、そーゆーものに情熱を傾けるのが変態社会というもの。その発見をブログ上にてガンダムエビのO野さんに伝えたかねやまんさんは、O野さんから「ニュータイプ」の称号を贈られたのだった。

 そのほか、古い古い図鑑で「エビジャコ」と名づけられている小さな白いエビも発見されていた。
 しかもその場所は、桟橋に横付けしてあるクロワッサンの船の真下という。

 日中は砂に潜っているはずのこのエビを、日中に発見したあたりはやはりニュータイプというところか。

 見せていただいたエビジャコ君の写真が可愛かったので、僕も探してみることにした。
 …といっても、ダイビングに出発する前、ゲストが船にいらっしゃるまでの5分ほどしか時間がない。
 毎夕90分ほど潜り続けてやっと一度出会えた小さなエビを、たった5分で見つけられるわけはないということはわかっちゃいるものの、それでホントに見つけられたらネタとしては面白い。

 というわけで、船の下に這いつくばってゴソゴソしていると、エビジャコとはまったく違うけど、アヤシイ動きをするモノを見つけた。

 これはひょっとして、ウワサに聞くフィコカリス・シムランスか?

 「私にもヤツが見える!!」

 その後ほどなくして船にお見えになったかねやまんさんに、写真を見せつつさっそく尋ねてみた。
 これはシムランスですか??

 「………違うと思います。」

 ああ………。

 でも!
 その正体が何であれ、けっこう可愛いポーズを決めてくれていたのだ。
 その写真がこれ。

 いわゆるエビ反り態勢で、最後の脚がピヨヨーンとうしろにたなびいている。
 で、その小ささとは裏腹に、わりと目と目の間が広い。

 ね?

 全長にすれば2ミリくらいはあるだろうけど、実質1ミリほどにしか見えないこの物体を、エビだと気づいた自分を褒めてあげたい。

 しかしこんなチビチビクリーチャーすら、変態社会では既知の存在なのだろうか?

 もし未知のエビちゃんなのだとしたら!!

 「フィコカリス・カトチャンスにしましょう」

 そんなオチャメなことを言う人がかねやまんさんであるのは言うまでもない。