其之二十五
写真のおめでたい色をした妙なモノは、足の小指の爪よりも小さな生き物。
あまりに小さいために肉眼およびルーペを使っても正体がわからず、ひょっとしてウミウシか?という確認のために写真判定することにした。
撮ってみたところ、どう見てもウミウシではなさそう。
ただ、このナゾの生き物からビヨヨヨヨ~ンと伸びているモノ(写真下矢印の先)が気になる。
よく見ると、連なる鍵爪がついた鞭のようで、明らかにこのナゾの生き物の体から出ている。
なんじゃこりゃ??
そのまま見続けていると、反対側からも出てきた。
その先端はただアテもなく流れに揺られているだけで、何かを求めて発射!!されたわけではなさそうだ。
そしてしばらくするとこの爪付き鞭は、シュルルルルル…………と縮まりながら体内に収納されていった。
なんじゃこりゃ??
発見者であるオタマサに聞くと、ゲストに指し示すべく、またその正体を探るべく、指示棒にてチョンチョンと触れてみたという。
その後に呼ばれた僕が撮った最初の写真からすでに爪付き鞭が飛び出ていたことを考えると、ひょっとするとこれはこのナゾのクリーチャーの防御兵器なのだろうか。
しかし防御兵器といったって、足の小指の爪よりも小さな彼の切り札に、いったいどれほどの威力があるというのだろうか。
試しに触れてみたらどうなるんだろう………
……というのは、あまりにもコワイ好奇心。
よってその威力は不明である。
はてさて、この珍妙なる生き物の正体は??
識者のみなさん、ご教示よろしくお願いいたします。
※追記(2014年)
光栄にも、識者からご教示をいただいた。
気鋭の研究者(2014年当時)ワカ氏によるとほぼその正体は判明しており、写真の子はクラゲムシの仲間なのだそうである。
ナイトダイビングで観察すると活発に捕食行動をしているそうで、防御兵器かと思われた鍵爪鞭を使って、ゴカイ類やヨコエビ系プランクトン(すなわち日本屈指のプランクトン写真家・泉ちゃんさんの被写体たち)を盛んに捕獲しているという。
それはかなり観てみたい……。