其之十七
ご存知マンジュウヒトデ。
100本近く潜っている人でもその名をご存知ではない、ということもあるけれど、100本も潜っていてマンジュウヒトデの名を知らないとなれば、それはダイバーではなくモグリという。
それほど有名なヒトデなのに、今さら「なんじゃこりゃ!?」とは?
実はマンジュウヒトデもまたコーラルイーターなのだ。
オニヒトデのように、「今サンゴ食べてます!」というわかりやすさはないけれど、ようやくこぶし大ほどに育ったミドリイシなどに乗っかっていることが多いマンジュウヒトデ。
ひっくり返してみるとこんな感じになっている。
胃袋を外に出して、サンゴのポリプを溶かして消化している真っ最中だったのだ。
見るからにアナーキーかつ狂暴そうなオニヒトデとは対照的に、まぁ~るい体で人畜無害を装いつつ、やってることはオニヒトデと同じだなんて…。
なにげに怖いお饅頭。
もっとも、その体よりも大きな胃袋をデーンと広げてサンゴを食べまくるオニヒトデに比べれば、マンジュウヒトデが外に出す胃袋の大きさはおちょぼ口(?)程度ではある。
だからこそ握り拳大程度のサイズしか食べられないのだろう。
なのでサンゴ礁を食いつくすほどのオニヒトデの食害に比べれば、マンジュウヒトデのサンゴ消費量は微々たるものだし、そもそもいくらサンゴに害をなすからといっても、このお饅頭をオニヒトデ相手のときのようにギッタギタに切り刻めるヒトはまずいない。
その風貌からくる人徳(?)であろうか。