本編・21
オーロラの下のアワレンジャー 最初の晩の曇り空がウソのように、今日も晴れた星空の夜だった。 そのせいで、またしても余計なことを考えてしまった……。 だんだんオーロラにも目が肥えてきて、ちゃんと写真で撮りたい状態、静かに待つ状態という区別がついてきていた。本来静かに待っている状態からやや輝きをました頃であれば、コービィ石橋さんの撮影の邪魔にならずにすむ。そのときを見計らって遊んでみようと思ったのだ。 で、その結果がこれ。 オーロラ戦隊アワレンジャー!! アホでしょう………。 僕があまりにグッタリしているので、 どこでも寝るのだ、この人は。 これがもう、最高のゼイタク。 泡盛一升瓶程度の値段だったくせにストレートで飲むカナディアン・ハンターは美味しいし、ムースもサーモンもひと噛みするだけで芳醇な味わいが口の中いっぱいに広がる。食糧不足になれば毎日毎日干し肉だけになるというのなら、僕は喜んで食糧不足の町に行くだろう。 あまりに美味い美味いと食っていたせいか、この日ついにうちの奥さんの上にムースの亡霊が現れた…… というのはウソだけど、このムースのトロフィーのサイズを見ればお分かりいただけるとおり、ムースは巨大である。グリズリーのオスよりも大きい。 今の世の中、これほどに巨大な動物が気楽に増え続けられるほど地球環境はやさしくはないのかもしれないが、とりあえずアラスカのムースは、ときに道端で出会えることもあるほどに、この大地で健やかに暮らしているようだ。 不思議なことに、この夜は夜が更けていくにつれて気温が上がっていった。 結局この日は、くだらない写真を撮るためにあたふたあたふたしているうちに、とってもきれいなオーロラは夢のごとく天を駆け巡っていった。 初めてこの地に来た我々にとって、まるでダイビング中に一度もウミガメを見たことがない方にとってのアカウミガメのようなものだったオーロラは、この頃には、水納島でしょっちゅう潜る僕らにとってのガーデンイールのように当たり前になっていた。 とはいえ、オーロラには太陽の活動に関連する周期があるようだった。 妖しくゆらめくオーロラは夜空に幾重にも渡って出ているというのに、極めてゼイタクな落胆をしていた。 それでも、晴れ渡る夜空に陽気にきらめいている星々は、天の下に生きるすべて人々を祝福するかのように瞬いていた。トゥウィンクル、トゥウィンクル、リトルスター、というのはきっとこういう星たちのことをいうのだろう。 夜走らす船が目当てにするにぬふぁぶし……北極星が、ほぼ天頂付近にある。星座たちは、真上付近を中心にグルグル回っている………。 アラスカの州旗(左)は、この北斗七星と北極星をデザインしたものである。 沖縄県のマークは、太陽をイメージしたものである。 昼と夜の違いはあるが、印象深い季節になると、どちらも空のほぼ真上にいつも位置しているからなのだろうか。 ちなみにこの州旗、小学生がデザインしたものなのだそうだ。 時にオーロラ、時に星々。それやこれやを眺めつつ、こうして1月23日の夜は終わった。午前4時だから正確には24日に突入しているんだけれど……。 すっかり慣れた鼻血風呂が、冷えた体をやさしく包み込んでくれた。 |