11・タオルミーナ駅
寝られないまま迎えた夜明け。 ……うーむ、天気は期待できそうにない。 眠れぬまま布団に包まっていても仕方がないので、朝食のレストランの場所をもう一度フロントにて確認がてら、ホテルを探検してみることにした。 タオルミーナはイタリアに留まらずヨーロッパ各国の人々が憧れるリゾート地なので、ホテルはいわゆるリゾートホテル。 とはいえ季節は早春。 館内を把握すべく階段を使いながらテケテケ歩いていると、やがて屋上に通じるフロアに達した。 ドアを開けてみると……… おおっ………………。 さっそくうちの奥さんを呼びに戻った。 昨夜は真っ暗で何も見えなかった周囲の風景、実はこんな海岸線を走っていたのだ。 その後父ちゃんも呼びに行き、まずは絶景を観てもらった。 「こりゃいい思い出になるわ」 父ちゃんもご満悦のようである。 その後、7時30分から始まる朝食をパパパパと済ませた。 深夜に到着して翌朝8時出発というのはいささかタイトかと思われたものの、諸々の事情でこの日に設定してあった。 それは……… ゴッドファーザーのロケ地めぐり!! このツアーの存在を知ったときの衝撃は今も忘れられない。 このゴッドファーザーのロケ地めぐりをはじめとする、シチリアでの様々なツアーを現地で企画・運営しているのはシチリアクラブというところで、代表者は日本人のヒロセさん。 待ち合わせ時刻の8時にヒロセさん到着。 というのも、今朝までの天気に鑑み、ヒロセさんとアントニオは、ツアー中天気がいいときに訪れたほうが絶対にいい場所については、明日にしたほうがいいかもしれない、と考えてくれていたのだ。 ヒロセさんいわく、あれほどの大雨のあとは、わりとスッキリと晴れるものなので、今日のお天気には期待できそうとのこと。 では!! 最初に訪れたのは……… タオルミーナ駅!! え?ゴッドファーザーとタオルミーナの駅に何の関係が?? そう思ったあなたはまだまだ甘い。 ゴッドファーザー・partVより 劇中では写真のように、ホーム天井から「バゲリア」という他の地名(パレルモ近郊)がこれ見よがしに垂れ下がっているけれど、実はロケ地はタオルミーナ駅。 ゴッドファーザー・partVより かつてアル・パチーノがここを歩いていたのだ!! む……無理があるか。 ちなみにこの駅は、グランブルーでもロケ地になっている。 別に「鉄」ではないものの、ついでにシチリアの列車も紹介しておこう。 このかわいい1両編成の汽車は、シチリア島のローカル線だそうだ。シチリアの鉄道の駅はどこもこのタオルミーナ駅のように美しいのかと思いきや、実はこんなにきれいなのはこの駅くらいだそうで、普通は1両編成の汽車にふさわしい素朴な駅なのだとか。 そして、
って、こんなとこ、どうやったら割れるの? 立派なこの電車は、ローマからシチリアを繋いでいるのである。 驚いたことに、レールが敷かれてある船に電車ごと乗っかって、船で対岸まで運ばれるそうだ。 ところでこの駅、我々はこうして今ホームにいるのに、日本だったら当たり前の入場料など払ってはいない。そんなものは必要はないのだ。 もちろん切符売り場はある。 それもそのはず、建物自体が19世紀の建造なのだ。 そんな空間だから、切符売り場の一画までが展示品に見えた。 調子に乗って一人勝手に盛り上がっているワタシ。 でもこの日がメインイベントなのだから、読者は我慢してついてくるしかないのである。 |