旅は終わった。
　翌朝、鳥羽から上本町、そして伊丹空港まで。空港でまさかの大正漢方胃腸薬、という事件はあったものの（帰宅直後のログ参照……といってももう無いけど）、鳥羽から水納島へはスムーズだった。

　今回の旅行では、普段の生活では考えられないくらいに歩きとおした。
　毎日夕方になるたびに腰が砕けんばかりに疲弊したけれど、それを補って余りある楽しい発見が相次いだ。車で気軽にドライプするのも楽しいだろうが、車じゃ絶対に気づけない旅のヨロコビがあるのもまた事実である。
　旅の楽しさは、小道に満ち溢れているのだ。

　島に戻ると、途端に日常である。
　翌日から一日おきくらいにある飲み会、そしてグランドゴルフ大会……。なんだか１０日ほど留守にしていたのは一夜の夢だったかのような感すらある。みなさんにとっては水納島は旅行先だけれど、僕たちにとってはやはりホーム・スウィート・ホームなのだ。

　北の地では風にふるえる時もあったのに、帰ってきたらまだセミが鳴いていた。
　日中はＴシャツ短パンで過ごせるし、外で酒を飲むことだってできる。
　帰ってきて、つくづく
　「あったかいって、シアワセ……」
　と思った。あたたかいということがいかに贅沢なことか。沖縄の人は意外に気づいていないかもしれない。

　旅行を終えてしばらくは、たった数泊で遥かな東北について何かを掴んだような気がしていたが、あたたかい海風が再び東北を彼方へと運び去った気がした。
　たしかな何かを持ち帰るため、再びかの地を訪ねよう。

　最後になりましたが、ここまで長らくお付き合いいただき、まことにありがとうございました。
　謹んでお礼申し上げます。