全長 12cm
深いところで人知れず暮らしていたアカネハゼが新種として報告されたのは、1994年と随分新しい。
四半世紀以上前(2020年現在)だなんていったら新しくもなんともないじゃないかと思われるかもしれないけれど、親戚筋のアカハチハゼの新種記載は1782年、18世紀のこと。
それに比べれば新参者も新参者なのである。
我々が水納島に越してきた95年からしばらくは、アカネハゼは業界的に話題の魚で、かなりホットな存在だった。
となると観てみたくなるのがダイバーのサガ。。
ただし前述のとおりアカネハゼが住んでいるのは随分深いところで、ボートを停めているところからズドンと真下に落ちるドロップオフ環境が無い水納島では、本種がいるかもしれない深い海底まで行くのが少々しんどい。
それでも当時は未見の魚を求める情熱が燃える闘魂アントニオダイビングだったから、わっせわっせと泳いではアカネハゼをサーチしてみた。
すると……
いた。
それも水深45mに。
見かけもさることながら、夫婦でかわりばんこに海底を漁り、砂ごと飲み込んだあと、エラから砂粒をこぼすところなどもアカハチハゼにそっくり。
しばしの邂逅を楽しみつつも、巡りあえたヨロコビを味わっていられるのは、その深さのせいでほんの束の間でしかない。
なんとか数枚写真を撮ったあとは、長い長い減圧時間が待っているのだった……。
その後も何度かアカネハゼを目にしているけれど、45mより浅いところでは観たことがない。
その水深も距離もゲストを連れて行くにはかなり無理があるので、アカネハゼをご案内したことは今まで一度もないし、近年のゲスト高齢化に鑑みれば、おそらく今後もないだろう。
でも、彼らを見ることのできるあたりには、そのほかスジクロユリハゼや、アケボノハゼ、アカオビサンゴアマダイなど、マニア垂涎の魚達が多いのだよなあ……。
……個人的に行ってください。