全長 2cm
普段は本土の海で潜っておられる方々にとって、亜熱帯の海はどこからどこまでもトロピカル。
そのため、見るものすべてにカメラを向ける…という、1分1枚以上撮影ペースの猛者(?)のキモチもわかる。
でもそんな方々でさえ、いつでも出会えるイソハゼの仲間をわざわざ撮るヒトは少ない…
…と思われる。
それも、昔から誰もが知っているアオイソハゼとなると、夢中で撮っている、というヒトなんて皆無…
…に違いない。
おまけに現地で日常的に潜っている我々もまた、彼らに熱いマナザシを向けることなど、少なくともこれまではまったくなかった。
となると、下手をするとアオイソハゼなど誰も撮っていない……
…かもしれない。
となると、彼らの記録はどこにも残らない?
しかしその危機は、彼らの個体数が救ってくれた。
フツーに観られるイソハゼはみんな似たようなものながら、アオイソハゼもリーフ際のそこかしこにチョコン、チョコンといるものだから、ふと気が向いたときにパシャ…くらいのことは誰もがしているはず。
写真を撮ることはなくとも、このテの小さなハゼにも目が行くヒトなら、たいていのヒトが出会っているのは間違いない。
ただ、その小さなハゼが「アオイソハゼ」という種類だというところまで意識が行くかどうかが生物分布上の渡瀬線のようになっているらしく、その断絶の先にいらっしゃる方は極めて少数…ということになっていると思われる。
だからだろう、アオイソハゼの写真こそネット上にはたくさんあるものの、アオイソハゼが何をした、どうした、といったドラマチックな写真はまったくといっていいほど見当たらない。
かくいうワタシもアオイソハゼなんていったら
「あ、アオイソハゼね…」
な魚だったから、かろうじて記録写真を残しているに過ぎない。
でもたまたまそれが、お腹ポッコリのメスだったりすることはある。
冒頭の写真と比べると背ビレがさほど伸長していないというのも、メスの印なのだろう。
↑この写真は4月に撮っているもので、1月に撮ったものは…
お腹はペッタンコ。
それが同じ年の5月に撮ったものになると…
ちょっとお腹ポッコリ。
このたった3つのサンプルだけで、ワタシのようなシロウトは、
「アオイソハゼは春に繁殖期を迎えている。」
…と結論づけるのである。
じゃあ、オスの興奮モードはどんな感じ?
この27年間、欠かさずその姿を目にしていたというのに、まったく知らない恋模様。
さあ目にしよう、アオイソハゼの興奮モード。
2022年のテーマのひとつ、誕生。
モンダイは……
はたして彼らの姿を、クラシカルアイで捉えることができるか?
※さっそく追記
アオイソハゼに関しては昨年(2021年)撮った写真を振り返っていなかったことに気がついた。
昨年は久しぶりにシーズンを通してマクロレンズ装備で居続けたおかげで、梅雨時に↓こんなのを撮っていた。
これ、アオイソハゼですよね?
オスの背ビレがビヨンと伸びるということは知ってはいたけど、ここまでとんでもなく長くなるとは知らなんだ…。
これを撮ったときは「アオイソハゼキングだ!」と個人的に盛り上がっていたというのに、すっかり忘れていた。
まだまだワタシにも見えていた!
< アオイソハゼは大きめだしね…。
アオイソハゼって、赤いのになんでアオイソハゼなの?と昔からずっと不思議だったのだけど、このアオイソハゼキングは全体的に普段よりもペールブルーって感じに見える。
そして胸ビレ付け根の上(矢印の先)には…
…青い星が!
ひょっとして、これがアオイソハゼの「青」なのだろうか。
名の由来はともかく、これがオスの興奮モードなのだとしたら、すでに今年のテーマは完了していた…?